石巻日日新聞

「飲酒運転根絶」 ③ 本人の自覚と周囲の監視

次代への軌跡

石巻市 次代への軌跡 渡邊 裕紀 2019年10月4日(金) 8時48分
飲酒の有無を確認するコースター

 県内で毎年のように飲酒運転ワーストを争う石巻市。過去には市職員が飲酒運転で逮捕されており、市は秋の交通安全運動中、「交通事故ゼロの日」となる9月30日に合わせ、飲酒運転根絶キャンペーンを展開した。総務部防災推進課の職員や石巻署、各関係団体が協力しドライバーに啓発活動を展開した。

 市はこれまでも定期的に根絶キャンペーンを繰り広げ、市民の意識を高めている。地域の関係団体とも連携しており、茶の間から家族の監視の目で飲酒運転を減らしていこうとしている。

 また、11月30日に遊楽館で開く市主催の交通安全大会では、飲酒運転を主テーマに地域一丸となって根絶を目指す。市役所も定期的な啓発で職員の意識高揚に力を注ぐ。

 同防災推進課の沼津清課長は「幅広く活動し、地道に声をかけていく」と話す。飲酒運転の抑止に特効薬はなく、根本的には個人のモラルの問題。結局、当人が意識を高める以外に解決は見当たらない。

 一方、酒類を提供する飲食店も独自の対応で臨む。市内で複数の飲食店を経営する(有)大森林グループの林正徳社長は「車で訪れるお客様には常に声掛けを徹底し、抑止している」と話す。同市あけぼのにある店舗では、声掛けで運転代行の手配などの対応を行っている。

 同店は家族連れが多く、年齢層も20―50代の会社員が中心。食事を楽しみながら「酒をたしなむ」人が大半で飲酒モラルはできているという。

 中心市街地である同市立町の店舗では、コースターの色で「代行を呼ぶ」「飲まない」「歩きで来た」などを分類しており、誰もが一目で分かる取り組みが飲酒運転の抑止につながっている。しかし立町の周辺は飲食店が立ち並ぶ繁華街。2軒、3軒と店を回る「はしご酒」も当然多い。

 コースターの色分けは最後に訪れた店として利用されれば対応もできるが、はしごとなればお手上げだ。林社長は「酒を提供する飲食店すべての問題として、地域全体での声掛けの徹底は必須」と語る。楽しく飲食してもらうのが一番だが、車の運転を確認すると気分を害する人もいるという。本人の自覚がなければ、どんな手段を講じても「馬の耳に念仏」だ。

最終更新:2019年10月10日(木) 17時39分

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