石巻日日新聞

牡鹿拠点エリア 観光物産と自然教育施設

鯨の町再生へ大きな一歩

石巻市 政治・経済 石巻日日新聞 2019年10月5日(土) 8時32分
和太鼓など芸能披露で景気付けた

 石巻市が東日本大震災の被害を受けた鮎川浜で整備を進める牡鹿地域拠点エリア「ホエールタウンおしか」で一部施設が4日、開業した。完成したのは「観光物産交流施設Cottu(こっつ)」と環境省の「牡鹿半島ビジターセンター」。現地で式典があり、国、県、市と地域住民ら約80人が震災から8年7カ月を経ての一歩を喜ぶとともに、来春の「おしかホエールランド」開業に期待を込めた。

 同エリアは鮎川港東側の約2万4千平方メートルで整備され、観光、商業的機能を持つ3施設を集約。県道を挟んだ向かい側は自立再建店舗用の区画とした。エリア指定管理者は地域の事業者らでつくる一般社団法人鮎川まちづくり協会が担う。

 完成した観光物産交流施設には、観光案内のほか、テナントとして航路事業者と飲食店、土産物販、鯨歯工芸の計7店が入居。催事で活用できる交流スペースも設けた。

 一方、環境省が復興の取り組みで整備するビジターセンターはシカの生態など地域の自然や文化を展示し、観光教育プログラムの提供拠点となる。

 式典で亀山紘石巻市長は「観光交流施設とビジターセンターの相互連携で効果の高いツーリズムが推進できる。ホエールランドとともに、にぎわいを取り戻すこととなれば」とあいさつした。

 エリアや施設の愛称は公募案から選出。鯨のまちにちなんでホエールタウンを提案した大場しのさん(22)=同市塩富町=と、「素敵な時間が過ごせるのはこっち」などとCottuを考えた鈴木ひろみさん(63)=同市鮎川浜=を表彰した。

 関係者によるテープカットが行われ、芸能披露が場を盛り上げる中で各店が開店。エリア内は6日まで開業記念企画を実施している。

 来春の全面オープンに向け、市は地域の鯨文化を発信するおしかホエールランドのほか、広場や展示捕鯨船の改修も進める。また、自力再建用地の募集も継続していく。

 鮎川まちづくり協会の佐藤富嗣代表は「施設完成後が正念場。住民をはじめ、牡鹿で活動する人や周辺島民も含めた企画づくりで地元文化を紹介し、にぎわいにつなげたい」と話していた。

最終更新:2019年10月5日(土) 8時32分

新着記事