「飲酒運転根絶」 ④ 先進事例から得るもの
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 渡邊 裕紀 2019年10月5日(土) 8時28分飲酒運転は全国的な問題であり、多くの地域で抑止する取り組みが進む。バス、鉄道など公共交通の最終便延長やタクシー代行、宿泊施設のあっ旋など多岐にわたる。
一例を挙げれば静岡県浜松市は、バスと鉄道の最終便を延長して運行し、車で訪れなくても安心して帰宅できる取り組みを導入。忘年会シーズンなどに合わせ、鉄道は平成6年から、バスは14年から始めている。通常の運賃収入に加え、地元企業の協賛金で費用を賄い、一定の効果を上げているという。
愛媛県松山市でも夜間バスを運行し、週末には若者や女性の利用者が多く好評。広島県尾道市は、地元の飲食店組合が市交通局のバスを貸し切り運行するなどしている。
タクシーを利用した移動手段の確保も全国で見られている。愛知県豊田市は乗り合いタクシー制度を設け、通常よりも低料金で利用できるようにした。加盟店からの会費徴収で費用を賄い、年4千―7千人が利用する。
割安でタクシー代行を行う地域もあり、北海道七飯町では、飲食店が代行料金を負担する形で、飲食店とタクシー業者がタッグを組んでおり、地域活性化にもなっている。事業開始前の18年11月は同町内で10件以上の飲酒運転が摘発されていたが、実施後の12月以降は激減した。
愛知県豊田市は無料駐車場の提供と格安の宿泊あっ旋に力を入れている。飲食店が負担する形で、夜間の駐車場を無料化。ホテル旅館組合も協力し、格安料金で宿泊ができるサービスを提供した。
地域を上げて飲酒運転の根絶に取り組むこうした事例の先を見れば「利用客が通常よりも増えなかった」「コストがかかる」「一部シーズンのみで通年利用できない」といった課題もあり、すでに終了したものもある。
しかし、このような先進的、意欲的な取り組みは失敗も次につながる糧となる。これまでの事例から得られるものは多く、そこから石巻市の実情に沿ったシステムを構築し、実験してみることが具体的な市街地の飲酒運転根絶への第一歩と考える。

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