コメの未来 ① 課題 兼業農家の苦悩
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 石巻日日新聞 2019年5月7日(火) 19時42分水産業とともに石巻地域の基幹産業である農業。中でもコメは登米市や大崎市、栗原市などとともに県内有数の生産量を誇る。高品質なひとめぼれ、ササニシキの産地として知られ、特にササニシキは全国トップのシェアを維持し続ける。
昭和30年代から品種や土壌などさまざまな改良を加えた結果、10アール当たりの収穫量は1.4倍に向上。しかし同40年代に米の供給過多で始まった「減反政策」で大豆などの転作が始まったことで作付面積が減少し、平成12年には約半分にまで面積は縮小した。
米価は昭和30年代にはまだ「銀シャリ」と呼ばれるほど高価なものだったが、生産量の増加とともに徐々に下落。消費者が日常的に食べられる「国民の主食」として普及した。
しかし、その後の輸入自由化や食糧法の改正、食の多様化によるコメの消費減少などを受け、平成5年ごろにピークだった米価は、ここ四半世紀下落傾向にある。
石巻市小船越の五十五人地区では現在、多くが兼業農家として生活し、コメを作りながら会社員や建設業などを掛け持ちする。作付面積は10ヘクタール未満が多く、主力品種はひとめぼれとササニシキ。今から半世紀ほど前にはコメの価格も高く専業で生活できていたが、徐々に価格は落ち、代替わりのころにはコメだけで生活できないほどになっていたという。
現在、1ヘクタール当たりの収入は20万円前後とも言われる。コメだけで生活を営むためには最低でも20ヘクタール以上は必要だが、そこまで拡大すると現状では手が回らないというジレンマもある。作業に必要なトラクターなどの機械も非常に高価で、専業をやるよりも他の業種にくら替えしたほうが生活は安定する。ほとんどの兼業農家は自らの食糧確保を目的にコメを作っており、得られる収入は微々たるものだという。
ある兼業農家は「コメ作りは自分の代で終わりだろう。息子はコメ作りに興味があるわけではなく、あとは誰かに農地を任せるしかない」と話す。先代から受け継いだ稲作だけでは将来的に食べていけないと考え、工事関係の会社を立ち上げて生計を立ててきた。
将来的にコメ作りは集約化、大規模化していくことで生き残りをかけていくことになる。
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