コメの未来 ⑤ 提言 価値見直し消費拡大へ
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 渡邊 裕紀 2019年5月11日(土) 21時18分米飯は日本人の主食であり、長い歴史を持つ。アジア諸国でも広く食されているが、主食として確固たる地位を占めるのは日本だけだろう。コメの価値を再認識することは、消費拡大と稲作農業への理解につながる。
石巻地方では、課題となっているコメ作りの後継者育成に向けた新しい取り組みが始まっている。石巻市桃生町中津山に昨年開所した市農業担い手センターは、地域で農業を始めたい人に体験や研修の場を提供し、担い手を育成している。
市の委託で一般社団法人が運営し、古民家を利用して興味のある人を募集。現在約10人が就農を目指して学んでおり、仙台市や関東圏から集まっている。
近年は有機、無農薬栽培が注目を集め、食への関心は高い。インターネットの普及で農業に関する情報も手に入り、〝脱サラ〟で営農する人もいる。同センターの利用者も多くは野菜の栽培だが、ササニシキの再評価を受け、コメ農家を目指す若者が3人いるという。
また、高齢で営農が難しくなったコメ農家が、機械や農地などを譲渡して稲作を継承するマッチングも見られており、石巻地方で自ら学ぼうとする若者たちが世代交代の節目にいる。
もう一つの課題である消費減退は、米食文化を改めて学ぶことで増加に導けないだろうか。小学校で稲作体験が行われており、一大産地として子どもの頃からしっかりと学ぶ機会を増やし、理解を深めることで消費拡大につなげたい。
品種や味の違いなど地域の稲作を踏まえることは、そのまま石巻の歴史や文化について深く知る機会にもなるはず。北上川を開削した川村孫兵衛は、治水によって石巻地方に稲作の恩恵をもたらした。
また、米飯とパン食が混在している学校給食だが、コメを主軸にメニュー構成を見直してはどうか。パン食を全て白米に置き換えれば炊飯や保温でコストは割高となるため、米粉を使ったパンを使うのも有効に思う。
東日本大震災で食料が行き届かず、ようやく落ち着いて食べることができた炊きたての米飯のおいしさは忘れられない。日本人はやはりコメだ。
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