「運転免許返納」 ⑤ ハンドルを握る責任
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 横井 康彦 2019年9月16日(月) 8時43分どこにでも好きな時に移動できる便利な自動車―。通勤や買い物、観光など、普段の生活圏を広げてくれる一方で、その裏には「走る凶器」という面がある。私たち免許保有者は、自動車学校などで操作や危険予知の基本、道路を走る上での法律を学んだ。これらすべては、単純に車を運転する許可を得るための過程ではなく、同乗者や歩行者、他の運転手、そしてハンドルを握る自分の命を背負って走るという自覚を植え付けるためのものでもある。
運転経験が豊富になるということは、それだけ自らの年齢も重ねているということ。学校や会社のように、いずれは卒業という節目を迎えなければならない。それは誰のためか。
まずは自分のためであり、長年にわたって交通安全に尽くしてきたのだから、返納のきっかけが事故に起因してはならない。事故を起こせば、被害者はもちろん家族にも負担をかける。人様に迷惑をかけることを嫌う人々ならば、事故リスクを考えられるはず。返納後の生活を支える家族も対応を考えてほしい。
繰り返すが、公道で車を走らせるということは、他人や自分の命を背負って走るということ。不便・不自由・負担を考える気持ちは重々分かるが、事故を起こした時の方が家庭への影響は大きい。この機会に各家庭で車との向き合い方を話し合ってほしい。
行政には運転免許返納を考える高齢者に対し、返納後の生活ビジョン、移動手段などを提案する専門の相談窓口を設けてほしい。現状、高齢者を担当する課が対応するケースもあるが、より明確に返納後の生活をサポートする姿勢を打ち出すべきだ。
また、車と公共交通を組み合わせることも地方においては欠かせない取り組み。バス停や駅前などに駐車場を設ける「パークアンドライド」方式を積極的に取り入れ、車移動の距離を減らし、利用者の少ない公共交通をより活用してもらう仕組みを作ってほしい。
利用者が増加することで、返納後の移動手段に対する不安解消にもつながるはず。「超高齢化車社会」突入まであと10年。地域の命を守るために今こそ真剣な議論を始めるべきである。
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