石巻日日新聞

仙台牛振興「茂洋」死ぬ 桃生のスーパー種雄牛

畜産振興に多大な貢献

石巻市 政治・経済 石巻日日新聞 2019年9月28日(土) 8時58分
肉用牛振興の原動力として活躍した「茂洋」

 石巻市桃生町生まれのスーパー種雄牛「茂洋(しげひろ)」号が26日、老衰による心不全で死んだ。18歳8カ月だった。県は仙台牛ブランドをはじめとした肉用牛の振興に多大な貢献があったとし、県畜産試験場=大崎市岩出山=に27日から10月11日まで記帳所を置く。

 茂洋は、桃生町高須賀の繁殖農家、遠藤好洋さん(56)方で平成13年に生まれ、同試験場で育てられた。父牛は県を代表する種雄牛「茂勝」、牛母は島根の「糸晴波」の子を父に持つ「こざさ」。子牛の能力を評価する19年度の検定で霜降り度合いの脂肪交雑、ロース芯面積で全国1位の成績を収め、県基幹種雄牛に選抜された。

 子牛の生産頭数は5万2554頭、繁殖雌牛は6629頭。22年3月から枝肉の一般出荷が始まり、格付け上位を示す上物率は86%(当時の全国平均56%)と驚異的な数字を出した。

 遺伝能力に優れ、産子は28年の全国肉用牛枝肉共励会、29年の全国和牛能力共進会でともに日本一。「好平茂」「勝洋」など後継牛が毎年度、県基幹種雄牛になり、特に「茂福久」は昨年度、脂肪交雑で国内歴代最高値を記録した。

 茂洋の誕生前後で石巻地方の関心度合も変わり、「茂洋の郷づくり」とした産地化の動きも盛り上がった。生産者の遠藤さんは「一生で一度出るかどうかの牛。さびしい気持ちであり、ごくろうさんと言いたい」と茂洋に感謝した。

最終更新:2019年9月28日(土) 8時58分

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