「運転免許返納」 ① 生活の足の確保に不安
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 横井 康彦 2019年9月12日(木) 8時43分「少しでも運転に不安のある方は、免許を返納してほしい」―。これは東京都池袋で今年4月、88歳の高齢ドライバーが起こした交通事故で、妻の松永真菜さん(当時31歳)と長女の莉子ちゃん(当時3歳)を失った男性が警察に寄せた手記の一文である。近年増加する高齢運転者事故の未然防止対策として、運転免許の自主的な返納を強く訴えていた。
日本は少子高齢化社会となり、必然的に運転免許保有者の年齢も高くなっている。全国の運転免許保有者数は、平成30年で8231万4924人(男4499万4702人、女3732万0222人)。このうち65歳以上は、1863万4865人(男1146万8376人、女716万6489)と全体の2割強を占めている。現状40―50代の保有率が構成比の4割弱となっていることから、今後10―20年後には、“超高齢化車社会”に突入する。
加齢が進むことで、運転時に必要な認知、判断、動作機能は衰えていく。75歳以下の事故要因では、安全不確認が最も多いのに対し、75歳以上になると操作ミスの割合が高くなっている。急な事態への対応にすぐ身体が動かず、判断を誤ることも少なくない。認知症発症率も高まるため、これまで安全運転に徹してきたベテランドライバーでも、望まぬ事故を起こすことにつながりかねない。
このため警察では、全国的に運転免許証の自主返納を促す取り組みを進めている。運転免許の返納制度は、高齢者の事故が全国的に頻発した1998年4月に導入されたもの。当時は返納後の身分証明書が交付されなかったが、現在では「運転経歴証明書」が発行されるようになった。
経歴書を提示することで、タクシー料金等の値引きや住民バスの回数券支給など、車に代わる生活の足を支える制度がある。一方で、この制度も自治体ごとに取り組みはまちまち。既存のサポート制度も充足とも言いにくい。運転手自身も公共交通の未発達、日ごろの移動を家族に頼めないなど、返納への道筋には千差万別のハードルがある。今まさに車を運転する高齢者もいる以上、返納への道筋を立て、できない場合の対応を明確に提示する必要がある。
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