「運転免許返納」 ② 自治体支援乏しく
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 横井 康彦 2019年9月12日(木) 8時46分実際にどれほどの人が免許を返納しているか。警察庁のまとめでは、平成30年に約42万人が自主的に免許を返納している。75歳以上は29万人と半数以上を占めている。都道府県別の返納率を比較すると、電車やバスなどの公共交通が発達し、買い物や医療機関へのアクセス性に優れた首都圏が高い。反対に地方では車の所有台数が首都圏より多く、返納率は低いという状況であり、地方での車の必需性がうかがえる。
県内における30年の自主返納者数は、5572人(前年比352人増)。このうち65歳以上は5308人で、65歳未満は264人。平成26年との比較では65歳以上の返納率が3倍まで増加している。石巻圏域でも石巻運転免許センターへの返納者が369人(前年比63人増)、石巻署で64人(同6人増)、河北署が27人(同5人増)と微増しており、高齢者の返納に対する関心の高まりが数値にも表れている。
さらに、母子が死亡した池袋での高齢運転者事故の報道が契機となり、今年5月以降から返納者が急増。石巻署交通課窓口でも、5―6月にかけて例年の2―3倍の返納者が訪れ、手続きを行ったという。
窓口を訪れる人々の多くは、「返納後の移動は公共交通で済む」「通院のみ家族に乗せてもらう」など、一定の移動手段が確保できた人。率先して返納したが、移動手段に困って取り消しを求める人もいる。
市街地に住む人であれば、普段の通院や買い物が徒歩圏内、または最寄りにバス停や駅、自治体デマンドバスが運行していれば、ある程度自由の利いた移動ができる。それが内陸部や半島部になると、公共交通の利便性が低下し、タクシー移動なら金銭的負担が増えていく。
返納後の生活の足を支えるため、県タクシー協会では、運転経歴証明書を提示した場合、県内加盟各社のタクシー利用料金を1割引にする支援策を講じている。県内では、20の自治体が「乗合バス1年間無料」「ミヤコーバス運賃半額助成」「タクシー乗車券交付」など独自の支援策を展開しているが、その内容のほとんどが返納後から1年程度と限定的。そもそも返納者支援策のない自治体もあり、返納後の長い人生を支える環境づくりへ、自治体の温度差の解消と、支援策を長期的に考える必要がある。
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