「運転免許返納」 ④ 技術開発までの事故防止策
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 横井 康彦 2019年9月14日(土) 8時56分政府と国内自動車メーカーでは、官民連携による高齢者の交通事故防止対策として、アクセルとブレーキの踏み間違い時における加速抑制や対歩行者の衝突被害軽減などの安全補助機能を搭載したサポートカーの普及啓発を進めている。高齢者事故の要因として多い操作ミスを自動車自体の機能によって抑制するもの。地理的要因などで返納が難しい高齢者に対し、一つの備えとしてPRしている。
“超高齢化車社会”への対応として、自動車メーカー各社が安全技術を高め合うことで競い、車を買う側も安全機能の有無にも注目する風潮が生まれている。女川町では、トヨタ自動車などと連携し、移動手段の多様化と外出しやすい環境整備の一環として、今月18日からスマートモビリティ実証プロジェクトを開始する。
シルバーカーのように免許不要で、時速約6キロで移動できる乗り物を活用し、高台から町中の移動を住民に体験してもらう。その結果を踏まえ、トヨタ自動車で次世代の乗り物の商品開発を進めていくという。
実用化されれば、運転免許証の返納後の足として活用することも可能となる。こうした実証実験は国内外で始まっており、そう遠くない未来に完全な自動運転機能も実用化されることになるだろう。
東京都をはじめ、一部自治体では、高齢運転者に対して後付けの踏み間違い防止装置の設置を補助する制度の検討にも着手している。新たな免許制度として「サポートカー限定免許」などの必要性もささやかれ、いずれは運転適性のある高齢者が自信を持って車に乗れる環境も整うことになる。
そのうえで大切なのは、こうした先進技術や制度拡充の恩恵を受けられるまでの事故防止策。運転に自信がないものの、車での移動が必要な人は、最寄りの駅やバス停まで運転し、その後は公共交通を利用するなど、移動手段を組み合わせることで、事故のリスクを下げることができる。
免許保有者の暮らしの状況はさまざまだが、交通事故防止への関心が高まっている今こそ、車との向き合い方を考えてほしい。行政も住みやすいまちづくりを目指しているのであるならば、一層本腰を入れた検討に着手すべきである。
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