薬事理解 ⑤ 提言 主体的な薬局利用
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 阿部 達人 2019年3月19日(火) 19時25分社会要請に応じ、医療福祉が役割を分化して連携しながら機能を発揮する地域医療体制に転換していく。これに伴って市民は医療福祉サービスの受け手であるだけでなく、それらの役割を有効活用していくことが求められる。これからの地域医療は住民の理解と主体性が要と言えそうだ。
主体的な医療資源の活用の一つが、「まちの健康相談窓口」としての薬局の利用。気軽な相談への意識啓発は業界が課題とするところだが、だからこそ改めて提言したい。
歳を重ねれば会話の話題に健康は欠かせない。「検診結果が良くなくて」「親も高齢だからそろそろ介護が必要かな」。井戸端会議の共感は安心感を呼ぶが、その延長で専門知識を有する薬局を訪れてみてほしい。
「何も買わないのに行ってもいいのか」と迷うかもしれない。しかし病院や診療所を医師の利益を考えて受診するだろうか。これらと同じ医療提供施設として、薬局が本来持つ無料の相談機能を使うことは何の問題もない。
健康相談は一概に体調だけでなく、個人や家庭の事情にまで踏み込む場合もある。そこまで聞き取り、対応機関の紹介などで解消につなげるのも薬剤師の役割だが、相談する側からすれば、そこに信頼がなければ話は出しにくい。
だからこそ薬剤師との相性を含め〝薬局を選ぶ〟ことが大切。その上で薬局への要求を高めることは、薬剤師の資質と専門性を向上させ、結果的には〝選ばれる薬局〟に遂げていく。
健康づくりは地域づくり。人口減少が進む中、市民一人一人に地域の担い手としての期待がある。さらに超高齢社会だからこそ、多くの高齢者には「元気老人」として経験と知識をまちづくりに還元することが望まれており、これらを支えるのは健康だ。
とはいえ、健康は地域ではなく自分を守るためのものであり、その上で最も効果的なのが、薬局をはじめとする適切な医療資源の選択。すべての市民にその心がけがあれば、地域医療はより力を発揮し、結果的には一人一人の健康につながる。
「まちの健康相談窓口」となる薬局は、こうした好循環の入り口と考えてはどうか。
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