薬事理解 ② 相談機能の浸透不足
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 阿部 達人 2019年3月14日(木) 23時00分〝まちの薬屋さん〟と聞いてイメージする薬局は、調剤室があり薬剤師が常駐する「調剤(保険)薬局」。一般的なドラッグストアとは異なり、薬剤師の指導が必要な市販薬の扱いや医師の処方に基づく調剤ができる。処方に飲み合わせや体質上の不具合がないかを確認するのも大切な仕事だ。
こうした業務のほか、業界が周知を進めているのは、薬局の〝健康相談窓口〟の機能。たとえば「体調が良くなったので、処方薬は飲み切らずに止めてもいいのか」と疑問に感じたことはないだろうか。こうしたときに自己判断せず、薬局に相談すれば「症状が出なくなっているだけで、病気は治っていないので服用を」と根拠立った助言がもらえる。
薬剤師が応じる相談は、薬に関することだけでなく生活習慣など幅広い。自分自身で健康を守る「セルフメディケーション」を実践するには心強い味方だ。
さらに効果を高めるには薬歴を一元管理して、体質や病歴を把握している「かかりつけ薬剤師」を持つことが重要。精度の高い指導が受けられることに加え、困りごとがあったときの電話相談にも応じてもらえる。
これは大手チェーンのドラッグストアにはない強み。近年は調剤室を設けている店舗も多くなってきたが、そこで働く薬剤師は異動もあるため、地域密着は調剤薬局ならではと言えそうだ。
しかし、石巻市内で声を拾うと「薬がほしければドラッグストアに行く」という人が圧倒的に多い。確かに日用品もそろい、営業時間が長いドラッグストアは利便性が高い。
これについて石巻薬剤師会地域医療部長の榑林雅司さん(41)は「大事なのは役割分担」と話す。「実際に購入するのは、品ぞろえが豊富なドラッグストアでもまったく構わない。ただ、その前の相談を薬局に持ち込んでもらえれば」という。
日常的な相談は、かかりつけ薬剤師を持ち、信頼関係を築くことにもつながる。だが、高齢者の中には「薬局だと、何かを買わないといけない気持ちになる」といった声まであり、理想的な薬局像の実現にはハードルが高いようだ。(阿部達人)
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