薬事理解 ① 課題 増す社会補償費
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 阿部 達人 2019年3月13日(水) 12時30分後期高齢者医療制度で、75歳以上が負担する医療費は基本的に1割。公費で賄われているのは全体の約半分であり、このうち都道府県と市町村はそれぞれ6分の1を支出している。残る約4割は74歳以下の各種保険料だ。
少子高齢化で医療費の自治体負担は必然的に膨らむ。県内の後期高齢者医療費は21年度で2086億円だったが、28年度には2448億円と7年間で約350億円増えた。
石巻地方の各自治体の人口に占める65歳以上の割合は、30年度末で石巻市31.8%、東松島市28%、女川町38.5%。いずれも総人口の21%を上回る超高齢社会となった。
この推移で団塊世代が75歳以上となる2025年には、石巻市の高齢化率は35%に達する予測。医療、介護にかかる費用はこれまでとは段違いに多くなり、自治体の財源を圧迫する。
この対策として、近年は通院や介護を必要としない期間、すなわち「健康寿命」の延伸が国ぐるみで図られており、石巻地方の2市1町における保険分野の施策方針でも、これを目標に掲げている。
社会保障費の増加や生産年齢人口の減少に伴う医療、介護人材の不足は全国の自治体に共通する課題。中でも震災で少子高齢化が進行した石巻地方では顕在化している。
健康寿命の延伸の大前提は、一人一人の健康意識の向上と日常的な自己管理。いわゆる「セルフメディケーション」であり、その上でのアドバイザーとしての役割を期待されるのが薬剤師だ。
薬剤師は医療の専門職であり、「病院を受診すべきか」といった判断をはじめ、健康に関する悩み事に幅広い助言ができる。薬局は〝まちの健康相談窓口〟といえ、疑問に答えてもらうだけならば費用もない。
医療ニーズが増す中で、医療資源を有効に使う上でも薬剤師の活用は重要。しかし、住民には「病院で処方された薬を出してくれる人」という意識が強く、この利用法は浸透していない。
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