薬事理解 ④ 展望 薬局を選ぶ時代へ
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 阿部 達人 2019年3月15日(金) 20時57分薬局は法律上、病院や診療所と同じ「医療提供施設」。薬の適正な取り扱いをはじめ「健康相談窓口」、「かかりつけ薬局」として地域住民との関わり合いも求められる。
現状では、市民目線で「薬局は病院の付随施設」とのイメージが強く、薬剤師会などによる脱却に向けた対応も特効薬的なものはない。とはいえ、急速な少子高齢化社会は薬剤師と薬局の在り方に変化を求めており、それに応じる中で、市民イメージも多少なりとも変化していくはず。
団塊の世代が後期高齢者となる2025年を前に、医療福祉や行政が連携し、住民が最期まで住み慣れた場で生活できるように支える「地域包括ケアシステム」の構築が進む。
連携には関係機関の役割の分化が必要であり、体制づくりを模索する中、医療提供施設としての薬局の機能も明確化していく。
また、在宅ケアに目を向けて取り組む上では、地域介入も欠かせない。これについては訪問での服薬指導が展開され、石巻地方でも定着しつつある。
石巻薬剤師会の丹野佳郎副会長(61)は「まだ包括ケアに着手できていない地域も多いが、石巻は取り組みが先行している。薬剤師は窓口から終末期までより広い場での活動が求められ、それには患者との信頼関係が不可欠」と見通す。
職業理解を進める上で、実際に働く姿に触れてもらう意義は大きく、対物業務から対人業務への切り替えは患者へのきめ細やかな対応につながる。この積み重ねと従来の周知活動が実を結び、日常的な相談窓口としての利用につながれば理想の形になるだろう。
国は2025年までにすべての薬局がかかりつけ機能を持つビジョンを描く。さらに開会中の通常国会で提出が見込まれる改正医薬品医療機器等法案でも、かかりつけ機能や健康相談、他機関との連携を推進する内容が盛り込まれている。
これらがどの程度の実効性を持つかは図りかねるが、目指すのは薬剤師の専門性によって、患者に〝選ばれる薬局〟の在り方。言い換えれば市民には主体的に〝薬局を選ぶ〟ことが求められている。(阿部達人)
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