財政不安 ④ 展望 定住、労働で稼げるまちへ
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 熊谷 利勝 2019年2月15日(金) 22時10分石巻市は東日本大震災の復旧・復興による将来的な施設の維持管理費や高齢化に伴う福祉関係費の増加に対応していくため、人件費の削減や事務事業の見直し進めることにしている。今後の市民要望や地域課題に対応していくためには当然、支出を減らすだけでは不十分で、入ってくるお金を増やさなければならない。行財政改革は当たり前であり、「稼ぐ自治体」や「稼げるまち」への変化が必要だ。
復興事業の終了後に懸念されるのは、〝特需〟に支えられた経済の冷え込み。少子高齢化による人口減少もあり、市財務部は「個人と法人からの税収が今後どうなるかが、財政状況に大きく影響する」と話す。
歳入確保に向けた市の自らの努力としては、税の滞納整理の強化と収納率の向上、未利用市有財産の処分、ふるさと納税の推進などがある。最近では、公共施設の愛称を名付ける権利を民間の企業などに与えて料金を得るネーミングライツを導入。さらには今議会に条例案を提出し、各種使用料の全体的な見直しを行うが、これらによって大幅に歳入が増えるとは考えにくい。
予算編成は現在、復興財源を最大限に活用。今後の施策の展開にあたっても、当面は有利な起債である合併特例債の活用や国の補助金を積極的に取りに行くことになるだろう。とはいえ、復興支援や国からの地方交付税の減少も予想される中、市独自の施策を打ち出していくには十分な自主財源が必要だ。
自主財源の主は市税。企業の収益が上がれば当然、個人の所得も上がって税収が増える。行財政改革と同時に、仕事と雇用を生み出し、都市部から地方へ人を呼び込む「地方創生」を推進していかないといけない。
それには企業誘致が手っ取り早そうだが、25―29年度の実績で14社159人となかなか簡単ではない。であるならば、今ある地域資源を活用した商品開発や販路拡大、新たなビジネスの創出が大事。若者、女性の定住が起業したくなる、働きたくなる「稼げるまち」を目指すべきだろう。
平たく言えば、魅力あるまちづくりが大事ということだ。
(熊谷利勝)
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