石巻日日新聞

財政不安 ① 課題 復興後の維持管理費

次代への軌跡

石巻市 政治・経済 熊谷 利勝 2月12日(火) 19時17分
各地区に公園が整備されている

 石巻市が東日本大震災前の平成22年度に維持管理していた公園の数は、総合運動公園や街区公園といった都市公園、開発公園、ちびっこ広場などを合わせて380カ所。津波の直接的被害や住まいを失った人の仮設住宅用地となって一時は激減したが、復興の進展とともに増え、今や震災前を上回る。それに伴って、維持管理にかかる費用も約1.3倍に膨らんでいる。

 市の管理対象公園は26年度に359カ所まで減少。うち41カ所は仮設住宅団地として占用され、実質的に公園として利用できたのは318カ所だった。このころは「子どもの遊び場が少ない」と、公園整備を求める市民の声もあった。

 しかし、28年度になると400カ所を突破。主に新市街地などの土地区画整理事業や半島沿岸部の防災集団移転団地整備で公園ができたためで、来年度には529カ所に達する見込み。今後も高盛土の防災緑地や国、県と整備中の石巻南浜津波復興祈念公園などの完成が控えている。

 決算額における公園維持管理経費は、21年度の約9700万円に対して29年度は1億2300万円となり、2600万円の増額。これには仮設住宅として占用された公園は含まれておらず、原状復旧とともにさらに増えるとみられる。

 そこで市が積極的に広めているのが、地元団体を中心に結成される公園愛護会。公園維持管理のボランティアであり、地元に年数回の清掃や除草を求める代わり、道具購入やその他経費を市が支援する制度だ。

 震災前まで91あった公園愛護会は一時57団体に減少したが、31年度には119団体まで倍増する予想。市都市計画課は「使いやすい公園にしていくとともに、維持管理をできるだけ地元にお願いして費用を抑えたい」と期待する。ただし「次代への軌跡」の人口減少で触れたように、地域活動の中心を担う世代が高齢化している。

 復興事業や災害復旧事業で整備した施設の維持管理をどうしていくかが焦点。作るときの国の財政支援はあるが、その後の費用は市が負担しなければならない。公園の維持管理費は氷山の一角。整備中の複合文化施設と雨水排水施設の維持費だけでも年に計6億円はかかると試算され、歳出削減は喫緊の課題だ。

(熊谷利勝)

最終更新:2月15日(金) 22時10分
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次代への軌跡 「少子高齢化による石巻市の人口減少」
平成17年の合併時に17万人いた石巻市の人口は減り続け、今や14万人ほど。東日本大震災の被害の大きい地域の減少が目立つ。しかし、そうでない地域でも町内会など自治会活動の実働を担う人が高齢化し、継続に支障が出てきている。
※執筆担当記者へご意見、ご感想をお寄せください。
企画連載「次代への軌跡」は、地域の今を未来への軌跡の起点としてとらえ、各分野における課題と思われる事象について、記者一人一人が向き合い、読者の皆様と一緒に考えていくきっかけにしていくコーナーです。
働く人が減るということは、稼いだお金を使う人が減ること。つまり、経済が縮小するということだ。商店の経営環境は厳しくなる。企業のもうけが減れば市の税収も減り、行政サービスが低下するおそれもある。補助金が投入される住民バスや路線バスをはじめ、公共交通は現状のままでの維持が困難になってくる。
施策の実績や進ちょくは毎年度に推進会議などが点検、評価。これはあくまで個別の施策の話であって総合戦略が100%達成できたとしても、人口減少が抑制できる保証はどこにもない。市の担当課は「どんな施策が将来につながるのか、とにかくやってみないと分からない」と話す。
そこで重要になるのが、観光客などの交流人口の拡大。そこに住まなくても他から行き来する人が増えれば街は活性化する。昨今注目されるのは、地域や地域の人々と多様に関わる「関係人口」。震災の支援をきっかけにした交流が広がった石巻市は、受け入れを増やす下地がある。
人口減少しても活力あるまちを目指すべきだろう。人が減るということは、一人一人の活躍の場が広がるということ。個人の仕事や学業に専念するばかりでなく、多くの人がまちづくりや身近な地域の活動に参画していくことを提言したい。

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