財政不安 ③ 対応 民間活用で人件費削減
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 熊谷 利勝 2019年2月15日(金) 22時02分年間600億円前後だった石巻市の予算規模は、東日本大震災以降からの復旧、復興で2―3千億円台に膨らみ、職員数も平時の1500人から応援を含めて5、600人増えている。今後、施設の維持管理経費の増加に加えて少子高齢化への対応などの財政需要が見込まれ、歳入の確保とこれまでにない歳出抑制策が必要になってくる。市は平成27年に行財政運営プラン(27―32年度)を策定。公共施設の適正な管理運営をはじめとした業務の効率化や見直しを進めている。
行財政運営プランは①人づくり・組織づくりの強化②安定的な歳入の確保③業務の効率化や見直しの推進④公共施設の適正な管理・運営⑤市民と協働で進める行財政運営―の5つが基本目標。この取り組みの一つとして28年には40年間の施設管理の基本方針を示す「公共施設等総合管理計画」を策定している。
21年度の公共施設の総延べ床面積に対して20%の削減を目指す計画。市内には昭和40年代後半から学校教育施設を中心に多くの施設が整備され、合併で同じような施設が重複してある状態だ。
この計画をもとに総合支所、支所整備時の他施設との複合化、集会所の地域への無償譲渡などを進めてきた。また、民間活用を含む保育所の再編を行うほか、復興公営住宅の活用による老朽化した市営住宅の廃止、統廃合を含めた小中学校の学区再編計画に取り組むことにしている。
本年度内には31―35年度を期間とした職員適正化計画を策定する予定。今でこそ業務量の増大で人手を増やしているが、復興後の余剰人員にならないよう他自治体からの派遣や再任用、任期付きの採用で不足を補っている。
一方で震災後、退職者の3分の1にとどめていた採用を100%の補充に戻しており、人口1万人あたりの職員数は、他自治体からの派遣や任期付き職員を除いても類似自治体の1.6倍で、なおかつ最多という。民間委託が進まず、市直営の施設が多いのも多くの職員を抱える一因にもなっている。
今夏からは市民課窓口の民間委託を始める予定。外部の視点での行財政改革を任された総務省出身の佐藤茂宗副市長よれば、今後の行政は事務事業の見直しと民間活用よる人件費の削減で「少数精鋭の経営を目指すのが基本」という。
(熊谷利勝)
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