石巻日日新聞

財政不安 ⑤ 市民協働の地域社会に

次代への軌跡

石巻市 政治・経済 熊谷 利勝 2月16日(土) 15時57分

 東日本大震災からの復興期間終了後、新しくなった公共施設の維持管理費や少子高齢化による福祉関係費が増大する一方、市税や国からの地方交付税の減少で、収支不足が見込まれる石巻市。財政の危機は行政サービスにも影響することであり、市民と共有すべき課題だろう。行財政改革は自助努力だけでなしえず、民間活用が鍵。月並みだが、次代への軌跡として市民との協働のより一層の推進を提言したい。

 連載では「課題」「現状」「対応」「展望」の順に市財政を見てきた。初回の「課題」は、管理公園を例として施設の復旧復興に伴う維持管理費の増加を指摘した。続く回では歳出増、歳入減の傾向が見込まれる「現状」に着目。第3回の「対応」で行財政運営プランに基づく人件費などの歳出抑制策を取り上げた。自主財源の確保には地方創生が欠かせず、稼ぐ自治体、稼げる地域への転換が求められる将来を「展望」した。

 とくに市は平成31年度から復興期間終了後の33年度まで、総額で82億円余りの収支不足を予想。これを29年度末で約101億円あった貯金に当たる財政調整基金で不足を穴埋めしていくと、残高は約44億円になり、何ら手立てを講じなければ数年で底をつく。

 さらに大川小津波訴訟(市が上告中)の結果次第では、遅延損害金を含めて20億円を超える損害賠償への対応も加わる。復興財源を除けば、臨時の財政需要に余裕がないのが実際で、30年度予算編成時は敗訴に備えて一時停止した事業もあった。

 税金は払う側からすれば後ろ向きのイメージだが、地域への投資と思えばその使い方に目を背けることはできない。連載初回に公園の維持管理費を取り上げたのは、財政不安を読者にも身近な課題として考えてもらうため。地域の公園は地域で維持管理してもらい、行政が支援する愛護会制度という一つの対策がすでにあり、是非はともかく、分かりやすい協働と考えた。

 行政は地域課題解決に向けた民間の活動を応援し、事務事業の見直しと人件費の削減による少数精鋭の経営を目指すとともに住民福祉に力を注ぐのが改革のゴール。地域でやれることは地域でということである。そこに新しいアイデアやビジネスが生まれることを期待したい。とはいえ、協働を名目に補助金のばらまきとなっては無意味。官民とも費用対効果の目が必要だろう。

 次回は「薬事理解」をテーマに3月12―16日に掲載する。

(熊谷利勝)

最終更新:2月16日(土) 15時57分
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次代への軌跡 「少子高齢化による石巻市の人口減少」
平成17年の合併時に17万人いた石巻市の人口は減り続け、今や14万人ほど。東日本大震災の被害の大きい地域の減少が目立つ。しかし、そうでない地域でも町内会など自治会活動の実働を担う人が高齢化し、継続に支障が出てきている。
※執筆担当記者へご意見、ご感想をお寄せください。
企画連載「次代への軌跡」は、地域の今を未来への軌跡の起点としてとらえ、各分野における課題と思われる事象について、記者一人一人が向き合い、読者の皆様と一緒に考えていくきっかけにしていくコーナーです。
働く人が減るということは、稼いだお金を使う人が減ること。つまり、経済が縮小するということだ。商店の経営環境は厳しくなる。企業のもうけが減れば市の税収も減り、行政サービスが低下するおそれもある。補助金が投入される住民バスや路線バスをはじめ、公共交通は現状のままでの維持が困難になってくる。
施策の実績や進ちょくは毎年度に推進会議などが点検、評価。これはあくまで個別の施策の話であって総合戦略が100%達成できたとしても、人口減少が抑制できる保証はどこにもない。市の担当課は「どんな施策が将来につながるのか、とにかくやってみないと分からない」と話す。
そこで重要になるのが、観光客などの交流人口の拡大。そこに住まなくても他から行き来する人が増えれば街は活性化する。昨今注目されるのは、地域や地域の人々と多様に関わる「関係人口」。震災の支援をきっかけにした交流が広がった石巻市は、受け入れを増やす下地がある。
人口減少しても活力あるまちを目指すべきだろう。人が減るということは、一人一人の活躍の場が広がるということ。個人の仕事や学業に専念するばかりでなく、多くの人がまちづくりや身近な地域の活動に参画していくことを提言したい。

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