地方創生とSDGs ④ 行政の組織改革で土台作り
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 山口 紘史 2019年6月21日(金) 19時11分地域に人の流れを生み、持続していく地方創生を実現するためには、地域内で循環する独自の生態系を作る必要がある。地域の持続にはコミュニティーの醸成や未来ビジョンの構図、若者・子どもが挑戦できる機会の創出が欠かせない。
このうち地域の根幹を成す部分が住民同士のコミュニティー。SDGsの17番目のゴールにも「パートナーシップで目標を達成しよう」とある。人と人のつながりで16のゴールを達成しようという内容であり、協働は地域課題の解決に大きな力を発揮するということが示されている。
住民のつながりはそれぞれに生きがいと幸せを与えるほか、知識を共有することで多様な気付きも得る。それが仕事や家庭、地域活動に対する取り組みと考え方を変え、経済にも好影響をもたらす。ここまで来れば、自然と人と人とのつながりも強まり、地域に好循環を生み出すことができる。これはSDGs推進の大事な考え方でもある。
このサイクルはきれいごとに聞こえるかもしれない。だが、実際に女川町はこの「住民のつながり」に重点を置いた施策で明確に未来ビジョンを描き、若者が挑戦できる独自のまちづくりで、外から人を呼び込む関係人口の増加につなげている。
東松島市がSDGs未来都市に選定された一因には、平成17年度から始まった「市民協働のまちづくり」がある。同市の人口減少が緩やかなのは、住民同士のつながり強化で自助自立性のあるまちづくりを推進し、働きやすい、子育てしやすい環境を整えてきたからだろう。
そんなコミュニティーを育む上で重要なのが行政の役割。ただ単に「コミュニティーを育んでください」と地域に呼び掛けても効果は望めない。住民同士が有意義な対話ができる良質な話し合いの場を行政が主体となって創出し、地域のファシリテーターを育てることから始めるべきだ。
そして地域が一つになるには、まず行政が一つのチームになる必要がある。組織間の高い壁を取り除き、連携することなくして、どうしてコミュニティーが創造されようか。行政のまとまり、連携は地域づくりの土台にもなり、SDGsも地方創生もこれをなくして展望はありえない。
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