インバウンド ⑤ 提言 東京五輪後も誘客に力点
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 横井 康彦 2019年4月14日(日) 0時28分大型外国客船誘致は、年数回ながらまとまった数の外国人旅行者を街なかに導くことで、観光を通じた一定の消費行動が期待できる。石巻港は県指定の重要港湾(観光・運輸)であり、ポートセールスの展開は港の有効活用としても評価できる取り組みだ。これに加え力を入れるべきは通年のインバウンド対応。地域経済衰退に一定の歯止めをかける施策として真剣に対応する必要がある。
まず石巻市が考えるべきは、外国人観光客に目的地として石巻を設定してもらう施策だ。「魚の街」「マンガの街」と売り出しているものの、外国人旅行者のニーズが高いのは、現状「キャットアイランド」田代島。外国側から注目が集まっているこの観光資源を活用しない手はない。
田代島へのトイレや休憩所整備、運航本数増加などを対応した上で、メインの観光地に設定すれば観光導線づくりも進めやすい。石巻駅から石ノ森萬画館などに立ち寄ってもらい、田代島行きの船が出る網地島ラインへ。宿泊する場合は、市全域、女川町、東松島市の宮城オルレ奥松島コーストレッキングなど広域連携プランの創出も可能で自治体連携でPRを進められる。
著名人に観光してもらうのも有効。近年はSNS上の写真をきっかけに観光客が増えることも珍しくない。お笑いコンビ「サンドウィッチマン」ら観光大使はもちろん、人気インスタグラマーや東京都大田区のように著名外国人観光大使を委嘱し、年数回観光してもらうだけでも効果はある。SNSの有効活用は地方自治体の観光発展の鍵。世界から人を呼ぶには、外国発の情報源も欠かせない。
継続的なインフラ整備も必須。石巻駅への常設外国人窓口の設置または、案内所機能を持つ市役所1階の石巻観光協会までの案内板整備を早急に進めるべきだ。最後に地域内の機運上昇も大事。おにぎり大使など海外研修に参加した中高生を客船寄港時に通訳体験させることで、インバウンドへの関心を高める。国際教育を石巻で行える機会にもなる。
東京五輪まで訪日外国人旅行者は間違いなく増えていく。石巻の魅力を発信し、2021年以降につながる誘客を進めていこう。官民連携の対策を客船対応だけで終わらせず、一丸での思案を続けなくてはいけない。
(横井康彦)
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