石巻日日新聞

インバウンド ① 課題 受け入れで準備不足

次代への軌跡

石巻市 次代への軌跡 横井 康彦 2019年4月13日(土) 23時52分

 東アジア・東南アジアの経済成長などを背景に年々増加する訪日外国人旅行客(インバウンド)。政府は、平成15年からインバウンド観光事業に重きを置き、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年には、訪日旅行者数4千万人という目標を掲げている。訪日旅行者の受け入れを広げることで、人口減少に伴う地域経済の縮小を補う一定の効果が期待される。旅行者に「選択される地域」へ、国内で訪日旅行者の争奪戦が激化している。

 石巻市でも、東松島市、女川町、松島町、大崎市と連携した「大型客船誘致協議会」を通じて石巻港のポートセールスを図り、昨年は外国船籍2隻を含む4隻計6回の寄港を取り付けた。これに合わせ、「インバウンド元年」として訪日客の受け入れに本腰を入れることとしたが、度重なる悪天候に泣き、外国客船の寄港はわずかに1回のみとなった。

 この唯一の外国客船寄港は9月18日のこと。約2700人の乗客を乗せた「ダイヤモンド・プリンセス」が石巻港雲雀野中央ふ頭に接岸した。乗客の8割が欧米系を中心とした外国人旅行者。ふ頭での歓迎イベントだけでなく、石巻地方を観光したいと、ふ頭と中心市街地を往来するシャトルバスを活用し、約1300人がまちなかに入った。

 バスターミナルから最寄りの「いしのまき元気いちば」へと流れる観光客が多く、休日のような客入りに。乾物などの商品をおみやげに購入し、周辺の飲食店や小売店で陶器や枕を買う人もいたという。

 だが、こうした商機を生かせたのは、一部店舗のみ。市と民間の連携不足から客船寄港情報が行き届かず店休日の店が多数発生。多言語標記の案内看板や直接旅行者をサポートする通訳・ガイドも不足し、さまよう旅行者もいた。

 特段のイベントもなく、午前11時半にまちなか入りした旅行客は、わずか1―2時間程度の滞在で船に戻った。

 石巻市におけるインバウンド初対応は、多くの「教訓」を得る結果となった。

最終更新:2019年4月13日(土) 23時54分

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