石巻ロケ映画「凪待ち」制作発表 白石和彌監督・ 香取慎吾さん主演
「喪失と再生」描く人間ドラマ
石巻市 教育・文化 石巻日日新聞 2018年8月11日(土) 19時13分石巻市を中心に6月から7月にかけて撮影されていた白石和彌監督の映画の製作発表がこのほど行われた。タイトルは「凪待ち」で、主演は香取慎吾さん。これまで石巻を舞台に撮られてきた作品の中でもビッグネームがそろった。香取さんは「石巻の空気がこの映画の中にあふれ、収まったらうれしい」とコメントしている。
白石監督は故・若松孝二監督(涌谷町出身)に師事。長編第2作の「凶悪」で日本アカデミー賞優秀監督賞、「彼女がその名を知らない鳥たち」でブルーリボン賞監督賞など受賞歴も数多く、日本映画界をけん引する存在だ。
「凪待ち」のテーマは「喪失と再生」。パートナーの女性のふるさとである石巻で、その娘とともに再出発しようとする男性が主人公。平穏に見える暮らしだったが小さなほころびが積み重なり取り返しのつかない事態へと発展する、という物語だ。脚本は「クライマーズ・ハイ」などの加藤正人氏が手掛けた。
人生につまずいた主人公を演じるのが香取さん。映画ではコメディ演技のイメージが強いが、「今まで演技したことのないような役と世界観で、この映画のストーリーの中に入れることがとても楽しみ」とコメントしている。白石監督は「映画作品としても自分としてもステップを踏めている気がする」と期待感を語っている。
重厚な人間ドラマを描くに当たり、主要ロケ地に選ばれたのが石巻。撮影は7月11日まで約1カ月行われ、プレナミヤギや日和大橋のふもと、コモンシップ橋通りなどで実施。また女川町の竹浦漁港や東松島市の矢本駅周辺なども使われた。
撮影には石巻市観光課や市民ボランティア、地元演劇関係者らも協力した。石巻市の寿町通りを封鎖した縁日のシーンでは、本物さながらの祭りのにぎわいを演出。約300人の市民エキストラが浴衣姿などで参加した。
撮影場所の調整などで協力した寿町南通り会の小野寺徹会長(58)は「こうしたことがあると住民の楽しみにもなる。作品にできる限り協力していきたい」と話していた。
白石監督はこれまでも作品と土地の雰囲気をマッチさせてきた。近年、石巻を取り上げる映像作品は震災色が前面に出るものが多かったが、今回の作品においてはあくまで「喪失と再生」のテーマ、主人公の心象を描くために機能するようだ。
白石監督の5月公開作品「孤狼の血」ロケ地の広島県呉市では、キャストと監督による公開イベントに約7千人が来場し、観光協会はロケ地マップを作製するなど地域振興につなげている。石巻では震災前、地元撮影の映画の応援組織が立ち上がった前例もあり、映画を通したPRの動きも期待されそうだ。
市観光課は「観光ガイドブック内でのロケ地の紹介や上映開始時の周知などできる範囲で協力したい。素晴らしい作品になることを期待し、石巻の知名度を上げるきっかけになれば」と話していた。
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