石巻日日新聞

映画「凪待ち」封切り 香取さんと白石監督が登壇

公開記者会見に1500人 ロケ地石巻から情報発信

石巻市 教育・文化 石巻日日新聞 2019年6月29日(土) 14時11分
中心ロケ地石巻を代表して亀山市長が香取さんと白石監督に感謝

 石巻市が中心ロケ地の映画「凪待ち」が28日に全国で封切りされた。公開後初の舞台あいさつはイオンモール石巻内の劇場で行われ、主演の香取慎吾さんと白石和彌監督が登壇。さらに施設屋内広場でも無料の一般公開記者会見があり、約1500人が詰めかけた。来賓出席した亀山紘石巻市長は「映画は『喪失と再生』の重いテーマだが、被災地にとって意義深い」と語り、作品が石巻に寄り添いながら地域の現状を発信することに期待した。

 「凪待ち」は石巻市で再出発を決めたギャンブル依存の主人公に、恋人の死や逃れられないギャンブルの誘惑、他者からの不信など悲劇と不条理が降りかかる物語。近年の邦画界に欠かせない白石監督のもと、昨夏の約1カ月間、石巻地方でロケが行われた。

 香取さんと白石監督は“全国縦断舞台あいさつ”をすでに開始しているが、公開初日は「ここしかない」と石巻に決定。会見で2人は封切り日をロケの中心地で迎えられたことを喜び、地域住民に感謝を込めた。

 白石監督は「石巻のドキュメンタリーを見ていると感じられるようなロケ場所を探した」と、地域の現状を映す思いを強調。香取さんは、イオンモール石巻が震災時に避難場所となったことに触れて「そんな場に今こうして笑顔があふれていることをうれしく思う」と話した。

公開記者会見の会場周辺は映画ファンで 埋まった
公開記者会見の会場周辺は映画ファンで 埋まった

 2人に花束を手渡した亀山市長は「復興が着実に歩みを進める中、素晴らしい作品が石巻を中心に撮影されたことを大きな誇りに思う」と謝辞を述べた。

 2回実施したイオンシネマ石巻での舞台あいさつ付き上映には計約720人が来場。仙台市からきた近江吉隆さん(54)は「石巻は妻の地元。たびたび来ているが、見たことのない地域の姿に驚きもあった。ぜひもう一度見たい」と感じ入っていた。

 同劇場には鑑賞者向けに香取さんと白石監督がサインしたポスターと、劇中で出演者が着た衣装を展示。田原正和総支配人は「これだけの集客力を持つ石巻ロケ作品はまずない。石巻の人により多く見てもらい、地元の映画に育ててほしい」と語っていた。

◆ロケ地マップを作製

 石巻市は、映画「凪待ち」を盛り上げるとともに作品を地域の観光推進に役立てようと、封切り前にロケ地マップを1万部作製した。配給会社の協力で劇中写真を盛り込みながら飲食店や川開き祭り、震災被害などを紹介しており、観光案内所などに置いている。

 マップはA3用紙を2つ折りにした小冊子。市には21日の発行後、設置場所の問い合わせもあり、インターネット上には実際にロケ地を訪れた人の報告も見られている。また、撮影協力した飲食店がマップと絡めて店の告知をするなど、少しずつ反響も出ている。

 亀山市長は会見でマップに言及し、「映画とともに石巻の観光推進に努めたい」と期待した。香取さんも「ロケ地巡りをすればより深い石巻を楽しめるはず。作品を見た後にも楽しんでほしい」と呼び掛けていた。

タグ:凪待ち
最終更新:2019年7月2日(火) 21時20分

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