石巻日日新聞

大川小訴訟 県全協説明 20億円余賠償金立て替え

石巻市に分割返済提案 選挙で専決処分も視野

石巻市 政治・経済 石巻日日新聞 2019年10月19日(土) 8時49分
県議会全協で方針を伝えた村井知事。一時立て替えも「市が負担すべき」と強調

 東日本大震災の津波で多くの児童が犠牲になった石巻市立大川小学校の遺族による訴訟で、最高裁判決により市と県の賠償が確定したのを受けて村井嘉浩知事は17日、県が賠償金を立て替え、市が分割で全額を返済する方針を県議会議員全員協議会(全協)で説明した。立て替えるのは賠償金約14億3千万円と遅延損害金合わせて約20億6千万円。村井知事はあくまで「市が負担すべき」と強調した。県議会は選挙期間となるため、専決処分による予算措置を視野に、原告へ速やかに支払う考えを示した。

 賠償金の立て替えと分割返済は、厳しい石巻市の財政状況への配慮で、15日に村井知事から亀山紘市長に提案。全協で村井知事はこの提案に対して、石巻市の合意が得られれば、県も議会を招集するいとまがなくても専決処分による予算措置を行うことに理解を求めた。

 県は財政調整基金の活用を考えており、県議からは専決処分ではなく「議会を招集すべき」との主張もあったが、村井知事は「原告に寄り添う意味で、結果が明らかになった以上、一刻も早く支払うことが気持ちを示す方法」と述べた。さらに石巻市側の調整や双方の代理弁護士を通した話し合いで現時点でも支払いまでに時間を要するとし、「専決処分しても県民にしかられることはない」とした。

 学校設置者で教職員の服務監督権者である市に加え、教職員の給与負担者として被告となった県の責任を問う声が多数あり、村井知事は「判決は校長や市教委、市の責任が明確に書かれており、一義的には市、市教委に責任がある。それは市もその通りであるということだった」と答弁。国と県、市で負担割合の協議を求める意見に対しては「国に責任を負わせるのは無理がある」とし、「過去の判例では都道府県が賠償費用を設置者の市町村に求償できるとある。今回、判決で県の責任は問われていないので、それらを根拠に立て替える」と説明した。

 石巻市は18日午後に市議会議員全員協議会を開き、市と県の上告棄却や賠償についての県の提案を説明した。

最終更新:2019年10月19日(土) 8時49分

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