「水産と観光」 ③ 魚町で民間主体の誘客
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 阿部 達人 2019年8月23日(金) 8時52分石巻魚市場を中心とした魚町の水産加工団地で、民間事業者による誘客が目を引く。その一つが石巻市水産総合振興センターに出店した「石巻うまいものマルシェ」。水産加工品をはじめとする地域商品を扱っている。
同センターにはテナントで地元鮮魚が味わえる斉太郎食堂が入り、市内では珍しい水産専門の情報資料室もある。魚市場の見学通路とともに「見る」「食べる」が整う中、出店によって「買う」がそろった。
マルシェは、水産加工を中心に市内10事業者でつくる石巻うまいもの(株)(佐藤芳彦社長)の運営。平成28年から立町の複合商業施設内に出店し、地元住民や街なかを周回する観光客をメインの客層にしていた。しかし、いしのまき元気いちばと商品内容が重複する部分もあり、長期的な経営には不安があった。
今回の移転は魚町の土産物ニーズに応えた形であり、再オープン後は予想を上回る集客。無料駐車場も充実しており、車利用で食事と一緒に買い物をする観光客のほか、観光バスが団体を乗せて立ち寄ることもある。
一方、産学・異業種連携の観光推進団体として26年に設立した石巻フードツーリズム研究会(須能邦雄会長)は、新たな観光資源の創造という違ったアプローチで、魚町に人を呼び込む。
水産加工場の見学ツアーのほか、石巻の練り物文化に着目して「石巻おでん」の新名物化を図るプロジェクトも展開。水産加工業者の直売所を会場に毎月、おでん具材直売会を開いており、徐々に地元の固定ファンや口コミによる顧客を獲得している。
多様な目的を求めて徒歩で周遊する街なかでは、ともすれば観光資源が埋没する懸念がある。一方で、魚町は水産関連の観光という明確な目的があって足を運ぶ場。いずれの事業も発展途上ではあるが、魚町でこそ魅力が際立ち、そして土地の特色を濃くしている。
また、「観光振興には、さまざまな主体がそれぞれの利害関係のもとで知恵を出し合うことが必要」と須能会長。2つの事例とも複数の事業所が手を組むことで、発信力と運営力を高めている点を特長としている。
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