「水産と観光」 ① 漁港周辺に秘める可能性
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 阿部 達人 2019年8月20日(火) 17時36分観光は、少子高齢化で消費人口が減少する地方の経済を活性化する上で重要な産業。石巻市も平成26年度から7カ年の観光復興プランで「中心的産業の一つ」と捉えての振興を掲げており、観光客入込数は29年度で推計248万人と、ようやく東日本大震災前の水準に戻ろうとしている。しかし、県全体と比較して伸びは緩やかであり、さらなる振興策が必要だ。
さて、観光客は今の石巻市に何を求め、何を感じるだろう。そこで、計画を立てる旅行者になったつもりで書店に並ぶガイドブックや市の観光ガイド、インターネットから情報を集めてみた。
旅程を組むためのキーワードは「震災復興」と「マンガ」、そして「港町」。仙石線で石巻駅を降りたらまずは、元気いちばで海鮮丼を食べ、石ノ森萬画館を楽しみ、日和山から海とまちを見下ろす…というスケジュールが組み上がった。
観光客の気持ちになったときに、この中でイメージと実際の体験にギャップが生じるのは「港町」としての部分ではないか。県内の他の沿岸地域に目を向けると、塩釜市は一般の人が早朝から買い物できる仲卸市場、気仙沼市は飲食店や鮮魚店が入る観光拠点「お魚いちば」が港町の観光を盛り上げている。
これらは水産を軸に観光地に必要な「見る(体験)」「買う」「食べる」がコンパクトに収まっているのが特長。特に流通の発達した昨今で大切なのは「見る」であり、港の風景や人々の活気が生む、土地ならではの雰囲気そのものに価値がある。
旧石巻市内の場合は水産の「買う」「食べる」は、元気いちばが拠点を担う。ただ、例示した他地域と異なり、港町としての雰囲気を醸す漁港とは距離があり、「見る」までが一体に提供されにくい。
そうした環境の中でも、石巻漁港周辺の魚町に対し、水産を軸とした観光の潜在的な価値を見出す関係者は少なくない。実際に、旅行者の中には塩釜市のようなにぎわいを期待して石巻魚市場を訪れる人もおり、観光客用の水産加工場の見学が人気を集めたこともある。漁港周辺の観光振興は簡単ではないだろうが、課題は伸びしろとも言い換えられる。
新着記事
-
石巻市議会定例会は28日の本会議で、追加提案された本年度の補正予算案を審議した。新型コロナウイルスへの対応をただす関...(続きを読む)2020年3月2日(月) 11時05分
-
政府が26日に新型コロナウイルスの感染拡大防止へ今後2週間の催しについて中止・延期または規模縮小を要請したことを受け、...(続きを読む)2020年3月2日(月) 11時03分
-
石巻市は28日、新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長・亀山紘市長)の第3回会議を市役所で開き、首相の要請に基づき市...(続きを読む)2020年2月29日(土) 10時58分
-
石巻市議会定例会は27日、本会議で新年度の一般会計など予算案を審議した。予算案に関連して空席となっている第2副市長の選...(続きを読む)2020年2月29日(土) 10時53分
-
石巻市立蛇田小学校は26日、溶接などを手掛ける同市大街道東の(株)宮富士工業(後藤春雄社長)で、ものづくり体験を行った...(続きを読む)2020年2月28日(金) 9時16分
-
地域の未来を考える紙面企画「次代への軌跡」では18日から5回、主に石巻市内の中学校に焦点を当てた「部活動の選択肢」をテ...(続きを読む)2020年2月27日(木) 13時03分
-
東松島市は25日、新型コロナウイルス感染症対策本部会議(本部長・渥美巖市長)を開き、要請を受けた大崎市と涌谷町にマス...(続きを読む)2020年2月27日(木) 10時01分