「水産と観光」 ⑤ 港まちの可能性意識して
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 阿部 達人 2019年8月24日(土) 19時30分水産を活用した漁港周辺の観光振興。水産関連事業者には、前回述べたように利益を見据え、共同で誘客に取り組んでいくことを求めたい。もちろん、観光協会などが近隣地域も含めた広域的な観光を提案することなども大切だ。
そして水産にかかわらず、まずは各種イベントの会場として漁港周辺を積極的に活用してほしい。催しによる誘客というといかにも安直だが、長期的に人の動きを生むことはやはり重要なこと。
港町の観光地は港を取り巻く人々の活気を原点として、他地域から人を呼び込むまでに育った歴史がある。だからこそ、土地の人々や風土に育まれた奥行きを持つ。こうした流れは地域の歴史の中で生じた、ある種の必然といえる。
一方、石巻で漁港周辺の観光振興を図るのは戦略的な取り組みになる。しかし将来的に観光地化がなされたとすれば、震災後の経済振興に応じた必然だったと評価されるのではないか。
現在はイベント自体で観光客を呼ぶことを狙わなくていい。むしろ地元住民が漁港の雰囲気の中で、楽しさを感じる機会を多く設けていくことが肝心だろう。市民が地域外の人々に対し、「港町石巻」を肌感覚に基づいて誇れるようになればおのずと水産に目が向き、漁港周辺の観光とともに前進していくのではないか。
そうしたイベントに複数事業者が手を組んで水産PRといった要素が絡めば理想的。採算性があるかといえば、7万人を集める「いしのまき大漁まつり」は地域住民の来場も多く、すでに港町としての地元のにぎわいに需要は大きい。
何の素地もない中での挑戦は心もとないが、石巻フードツーリズム研究会の見学会や直売会、うまいものマルシェなど先例との協力も可能なはず。
いずれにせよ、観光振興という目標に向けて事業者や団体がつながり、議論し、実行に移せる環境が必要。民間の自主性を前提としながら、行政的なサポートや観光協会と連携する仕組みづくりも求められる。
当連載は私自身が記者活動を通じて知った水産や漁港周辺の可能性を前提に、多分に期待を込めて執筆した。読者にはまず、その「可能性」を意識してもらえれば幸いだ。
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