「地元就職」 ① 震災後、加速する人出不足
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 近江 瞬 2019年10月30日(水) 8時48分働き手が足りない―。石巻市では東日本大震災前の平成22年9月末で16万3216人だった人口が、今年同期で14万3047人とおよそ2万人減少した。このうち震災による犠牲者が3601人(行方不明者含む)であり、純粋に1万6千人以上がこの8年で減ったことになる。
このうち多くは労働力の中核を担う「生産年齢人口」の15―64歳。同時期の比較で世代別にみると年少人口(0―14歳)が2万459人から1万5324人に5135人減、生産年齢人口は9万8902人から8万1019人に1万7883人減、一方で65歳以上の老年人口は4万3855人から4万6704人へ2849人増加しており、今後の少子高齢化でこの傾向はより顕著になるとみられる。
このような中、市外・県外からU・Iターン者を募るなど定住人口増加への対策がさまざま打ち出されている。が、これらは一種の流行であり、全国の地方で同様の取り組みがなされている以上、結局は人材の奪い合いに時間を浪費することにもなりかねない。
働き手の不足は深刻だ。震災以降、石巻管内は県内でも一、二を争うほどの高い求人倍率が続いている。今年8月は過去3年で最低でありながらそれでも有効求人倍率は1・54倍。求職者1人に対して1・5個の求人があるという状態である。実数にして働き手を求める求人数は4535人分あるのに対し、職を求める求職者は2946人と、職種の希望を勘案せずに見た場合、およそ1600人の開きがある。
これらの解消へ外からの人材を確保することは現実的に期待できない。となれば力を入れるべきは、今いる、またはこれからを担う世代にいかに地元で就職してもらうかだろう。
そのこれからの世代である石巻管内11高校(北高飯野川校と女川学園含む)と石巻専修大学の今春の卒業生は計1792人で、このうち就職希望者は518人。さらにこのうち石巻地方への就職者は288人にとどまり、仮に就職をしても、近年増えている就職後3年以内の離職者の課題も影を落とす。

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