石巻日日新聞

県海洋実習船 「宮城丸」 宮水生ら乗せ3次航海

学び多き大海原へ出港

石巻市 教育・文化 石巻日日新聞 2019年1月21日(月) 11時15分
保護者らの見送りを受けながら実習船が出港

 県海洋総合実習船「宮城丸」(日野浩之船長)が18日、石巻港から宮城水産高校の生徒らを乗せて第3次遠洋航海に出港した。見送りに集まった保護者らは、生徒たちの成長に期待を込め、60日間の実習に送り出した。同船では、航海実習中に乗組員が生徒をたたくなどの不適切指導があったことが判明し、県は12日、15日に2校で保護者説明会を開いた。

 実習生は宮水高の機械工学類型2年生16人と専攻科生5人、気仙沼向洋高生3人の計24人。27日にハワイ南西沖の漁場に到着し、船舶の保守管理やマグロはえ縄漁を学ぶ。2月25日からはハワイでの外地実習も行い、3月16日には石巻に帰港する。

 乗船式には、宮水高の全校生徒と保護者ら約450人が出席。訓示で日野船長は不適切指導に関して「心配や不安を与えて大変申し訳ない」と謝罪。「乗組員全員で実習をサポートしていく。有意義な実習にしてほしい」と話した。

 来賓で宮水高PTAの加藤佳世会長は、保護者たちに「乗組員の皆さんは気を引き締めて安全な航海にしてくれる。安心して子どもたちの帰りを待ってほしい」と呼びかけた。

 生徒会によるエールを受け、実習生代表で機械工学類型の宮本力斗さんは「意気軒高で実習に臨む。学びを深め、将来の水産海洋関連産業を担う人材に近づきたい」と目標を掲げていた。

宮城丸で不適切指導 乗組員が実習生たたく 県教委 航海前に保護者説明

 宮城県教育委員会は17日までに、県の海洋総合実習船「宮城丸」での第2次航海実習中、乗組員2人が気仙沼向洋高校の生徒に対し、たたくなどの不適切指導を行っていたことを明らかにした。過去に乗船経験がある同校や宮城水産の在校生計12人も同様の対応を受けていたことが判明。県教委は乗組員2人を18日からの第3次航海に参加させないなどの対応をとった。

 県教委によると、昨年10月1日から11月16日まで実施された第2次航海実習中、生徒1人が乗組員から暴言を吐かれ、肩や背中をたたかれたという。生徒の申告を受けた船長が県教委に連絡し、帰港時に生徒の保護者に対して学校長とともに謝罪した。

 県教委は、平成27年以降の航海実習に参加した両校の在校生を対象にアンケート調査を実施。その結果、計12人の生徒が4人の乗組員から同じような対応を受けた経験を持つことが分かった。

 これを受けて県教委は乗組員対象の研修を行ったほか、12日に気仙沼向洋高、15日には宮城水産高で第3次実習に臨む生徒の保護者を対象に説明会を開催。今回の実習には指摘された乗組員を乗船させないことを報告した。

 県教委の高橋仁教育長は「航海実習である以上、一定の厳しい指導は必要」としながらも、不適切な指導に対しては「体罰根絶に取り組む中での事案であり、残念。再発防止に努める」と談話を発表した。

最終更新:2019年1月21日(月) 11時15分

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