ローカルベンチャー 石巻市など10自治体 共同宣言で事業モデル拡大へ
地方での起業後押し
石巻市 政治・経済 阿部 達人 2019年11月20日(水) 8時43分人口減少対策と地域経済の活性化に効果が期待されている地方での創業(ローカルベンチャー)。東日本大震災後に地域特性を生かした多くの新規事業者が生まれた石巻市は、全国9自治体とともに「ローカルベンチャー協議会」に参加し、広域連携による事例共有や起業人材のマッチングで一定の成果を挙げてきた。参加自治体は共同で「ローカルベンチャー宣言」を出し、協議会のさらなる拡大を呼び掛けた。
ローカルベンチャー事業は、移住者による起業のほか、地元事業者の新規開拓、首都圏企業との共同展開など形態はさまざま。働く場や魅力ある仕事が創出されることで、経済活性や地域課題の解決、人口減少の抑制などが図られる。
同協議会は5年を期間とする国の地方創生推進交付金事業。平成28年9月に発足し、北海道から九州まで10市町村が参加する。自治体間の連携でローカルベンチャーの支援ノウハウの確立を図っているほか、起業希望者が描く事業を実現できる場を広域視点でマッチングしている。
設立から28年度末までの約3年間、協議会全体の実績と5カ年計画に対する達成率は新規事業120件(68%)、ローカルベンチャーの売り上げ規模約18億5千万円(31%)、起業型人材の移住マッチング192人(52%)となっている。
各市町村は地元でローカルベンチャー推進を担う中間支援組織と協働し、石巻市はイシノマキ2・0、合同会社巻組、イトナブ石巻、石巻観光協会による共同事業体「コンソーシアムハグクミ」と連携している。
事業体は移住体験や空き家活用、支援講座などを展開。28―30年度にサポートしたローカルベンチャーで売り上げ規模約1億9千万円、新規事業25件、起業型人材マッチング14人の実績を挙げた。
ローカルベンチャー宣言はこうした事業モデルを全国に広げ、連携効果を高めようと実施。「地域で挑戦するロールモデルの創出」「地域を超えてつながり、共に進化し続ける全国ネットワークをつくる」などを掲げた。7日に都内で記者発表があり、石巻市を含む参加自治体の首長らが成果発表を行った。
石巻市長の代理で出席した久保智光復興政策部長は「事業を起こせる環境づくりは魅力あるまちづくりに通じ、既存の一次産業の維持とともに取り組むべきもの。持続可能な地域とするため、UIJターン施策を展開する上で、協議会の事業は大きな意義がある」と話した。
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