大川小訴訟賠償 石巻市臨時議会 県の立て替え支払い可決
10年で総額20億円償還
石巻市 政治・経済 石巻日日新聞 2019年10月23日(水) 9時04分東日本大震災の津波で多くの児童が犠牲となった石巻市立大川小学校を巡る訴訟で、原告遺族に対する賠償が確定したのを受け、市議会は20日に臨時会を開き、県から市に提案された立て替え払いを受け入れるための議案を可決した。市は約2億円ずつ10年をかけ、損害賠償金と遅延損害金合わせて20億円余りを県に返済していく。
市は県の立て替えの提案を受け入れることについて18日の市議会議員全員協議会(全協)で説明したが、理解を得られず、急きょ臨時会を招集して可否を諮ることになった。議案は県に対し、本年度から令和11年度まで償還していく債務負担行為の設定。損害賠償金約14億3600万円に、今月末までの遅延損害金約6億2千万円を合わせた約20億5600万円を債務負担行為の限度額とした。
議長を除く29人の起立採決の結果、賛成25、反対4で可決。これを受けて市は今週中にも県と覚書を交わし、具体の返済計画を決める。県は知事の専決処分を視野に速やかに遺族へ支払い、市の返済は来年度からになる見通し。
議案審議で議員は、判決が市と県が連帯して賠償する内容であるのに、県が応分の負担ができない根拠とした判例の妥当性を質疑。亀山紘市長は「解釈について専門家の意見を聞くことが大事と思う」とした。分割とはいえ約20億円余りの負担が市財政に与える影響は大きく、職員数の適正化を含めた行財政改革の前倒しや職員・議員の給与の削減を求める議員の声もあった。
審議に先立つ緊急質問では亀山市長と境直彦教育長の責任が追及され、それぞれ「復興を成し遂げることが使命」「学校の防災の充実強化に向けて全力を尽くすことが責務」として辞職を否定。遺族との面談や弔意の表し方を問われた亀山市長は「その方法を検討したい」と述べ、原告である児童23人の19遺族以外に対する賠償について市教育委員会は「考えていない」とした。
閉会後、亀山市長は「市の財政に心配いただいた。大川小に関して真摯に対応し、二度と命が失われることがないよう災害に強いまちづくりを進める」と話した。
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