石巻ロケ映画「凪待ち」香取さん主演 6月28日公開
地元エキストラ多数 重厚な人間ドラマ描く
石巻市 教育・文化 石巻日日新聞 2019年5月20日(月) 19時16分石巻市を中心ロケ地に昨夏に撮影された白石和彌監督、香取慎吾さん主演の映画「凪待ち」が6月28日に封切りされる。キャストは香取さんの恋人役に西田尚美さん、また恒松祐里さん、リリー・フランキーさんら豪華俳優陣が脇を固める。予告編も公開され、石巻を舞台とした重厚な人間ドラマに地元の期待感も高まっている。
物語のテーマは「喪失と再生」。香取さん演じる主人公が人生につまずき、恋人とその娘とともに、彼女の故郷である石巻市で再出発しようとする。平穏な暮らしに小さなほころびが生じ、やがて取り返しのつかない出来事に発展するというストーリー。
白石監督は今の日本映画界で最も勢いのある監督。平成22年の長編デビュー以来、「凶悪」「孤狼の血」などの話題作を発表。最新作主演の香取さんについては「スター感を若干消しながらも、人の生きる強さや優しさに香取さんなら触れられると思った」と談話。香取さんは主人公の内面に迫るため、撮影も多くの場面をノーメークで演じている。
追加発表のキャストでは「凶悪」のファンという西田さん、黒澤清監督の「散歩する侵略者」などで注目度上昇中の恒松さんと、女優陣は白石監督の作品に初参加となった。
一方、白石作品で印象的な演技を見せてきたキャストも集結。リリーさんは冷酷さなどこれまでの白石作品で演じてきた役から一転し、主人公を気に掛ける製氷工場の社員の役。さらに西田さんの父親役で吉澤健さん、前夫役で音尾琢真さんと名脇役がそろう。
ロケ地は日和大橋や石巻市の中心市街地、蛇田地区や矢本駅前の飲食店、女川町の漁港など石巻地方各地。香取さんは撮影地の近隣住民の夕食に加わることもあり、「ロケの約1カ月、大変だったけれど最初に出た言葉は『楽しかった』」と振り返る。
音尾さんは「香取さんは石巻で撮る白石監督の世界に完全に溶け合っていた」、リリーさんは「ゆっくりしたスケジュールで石巻を満喫させていただき、まちの人にも良くしていただいた」と地域と作品の印象を話す。
イオンシネマ石巻は今年の最重要作品の一つとして、作品の公式宣伝チラシが届く前から自作看板を劇場前に設置。同館の田原正和総支配人は「作品の関連イベントも実施できれば」とさらなるPRに力を入れる。
すでに試写で作品を鑑賞した田原総支配人は「これまでの石巻を扱った作品と違い、震災色が前面になく、重厚なドラマを描くために飾り立てることなく描いている。多くの地元エキストラも協力しており、一人でも多くの人に観賞してもらえれば」と期待していた。
同劇場では、今月末から6月上旬ごろを目途に前売り券の販売を開始する見込みだ。
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