石巻市 帰郷支援が終了 市外避難3割以上戻らず
東日本大震災から8年半 復興発信し移住に力点
石巻市 政治・経済 石巻日日新聞 2019年9月12日(木) 8時53分配信東日本大震災の発生から11日で8年半となった。石巻市は市外に避難していた1966人に帰郷支援を実施し、平成30年度までに1290人の帰郷を果たした反面、3割以上が戻らなかった。当初は一時的のつもりでも、就職や子の通学などで避難先での生活基盤ができたのが理由とみられる。市は帰郷支援から移住支援へと考えを変え、古里の復興をアピールしていくつもりだ。
市は県と協力し、平成28年度に市外避難者名簿を作成。翌年度には住宅の再建方法が確認できない世帯を中心に現況を調査した。罹災判定が一部損壊の人もいることから、市は住宅の被害だけが避難の理由ではないと推測。名簿の作成を通じて避難理由を把握し、帰郷に必要な支援を検討してきた。
避難先は主に東京や大阪、隣県の東北。これまで市はメール配信や、県の県外避難者向け冊子を通じて住宅再建の補助金や就労支援などの情報を提供してきた。また、秋田市での県外避難者交流会に職員が直接出向いて情報提供するなどした。
帰郷した1290人の実績は、住まい再建の各種支援を活用した人数から算出。復興公営住宅への入居と集団移転地などでの住宅再建が半々で、県内の市外避難者が主だという。
県外避難者はほとんど戻らず、隣県であってもその県の災害公営住宅に入居するなどして住まい再建に区切りをつけている。
ここ数年は帰郷支援の問合せがなく、「もう必要ない」と市からの情報提供を断った人もいる。生活再建支援課は「震災から8年余りが経過して避難先での生活が落ち着き、被災の体験から気持ちの面でも戻りたくない人がいるようだ」と推察する。
県からのデータの提供が終わったこともあり、市は昨年度で現況調査など主な帰郷支援を終了。県による県外避難者への情報提供は続くため、市も随時の情報発信に努める。
同課は「市では各種移住支援を行っている。県外に魅力あるまちづくりを発信することで呼び戻したい」としている。
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