県議会定例会 女川原発2号機再稼働 県民投票条例案は否決

請求側「民意届かない」と嘆く

広域 政治・経済 石巻日日新聞 2019年3月16日(土) 14時16分配信

 東北電力女川原子力発電所2号機の再稼働の是非を巡り、村井嘉浩知事が県議会定例会に提出した県民投票条例案は、15日の本会議で審議され、反対多数で否決された。県民投票の実現に向けて市民団体を中心に県内で11万人を超える有権者の署名が集められたが、これによって実施されないことになった。

 条例案は総務企画と環境生活農林水産の両委員会による連合審査会を経て、定例会最終の15日に審議。各会派による討論では、民意反映の上での投票手法の有効性や、議会制度の維持などの観点から意見が交わされた。

 採決では野党4会派の21人の賛成に対し、反対35人で否決。自民会派の議員1人は途中で退席し、採決に加わらなかった。村井嘉浩知事は会期中を通し、賛否について自身の態度を明らかにしなかった。

 結果を受けて石巻市の亀山紘市長は「さまざまな観点から議論がなされた上での結果」とコメントを発表。女川町の須田善明町長は「可否にかかわらず安全確保が最重要。東北電力にはこれまで同様に安全対策の徹底を求める」とした。

 条例案は仙台市の市民団体「女川原発再稼働の是非をみんなで決める県民投票を実現する会」(多々良哲代表)の直接請求によるもの。請求条件である県内有権者の2%(3万8841筆)を上回る5.75%(11万1743筆)の署名を集め、先月8日に知事宛てに請求していた。

 石巻地方で署名活動を中心的に行ってきた「女川原発の再稼働を許さない石巻地域の会」事務局長の中山亨さん(75)は、「今回の議案の焦点は再稼働の是非であり、国の政策を問うものではなかった。県議会に民意が届いていないことが明らかになり、残念の一言」と語っていた。

 原発の再稼働については、震災後に他県でも同様の県民投票条例が提出されてきたが、いずれも否決されている。

最終更新:2019年3月16日(土) 14時16分

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