石巻日日新聞

「部活動の選択肢」⑤ 地域に即した在り方で

次代への軌跡

石巻市 次代への軌跡 近江 瞬 2020年2月23日(日) 16時36分

 少子化で子どもの数が減り、多様な部活動の維持が難しくなる。石巻市内の多くの中学校で実際に運動部の休・廃部が頻出し始め、その結果、小学校時代にスポ少などで競技に打ち込んだにもかかわらず、進学先の中学校にはその競技の部活動がないという現実が生まれている。

 現在の各校の休・廃部の基準の多くは「地区中体連が示す競技規則に則り、出場できる最低競技人数を満たさず、学校単独で競技が行えない状態が2シーズン続いた場合は廃部を検討する」というもの。だが、各校で団体競技の存続が難しくなる今の実情にこの規則が適していると言えるだろうか。

 スポーツ庁のガイドラインには多様な活動の維持へ、単一の学校で設置できない場合の複数校による合同活動の推進が明記されている。子どもたちの意志を尊重し、さらに団体競技による教育的意義を考えるのであれば、これまでの規定を改定し、合同チームでの活動による継続で部活動の存続を許すことの方が、地域の実情に即しているのではないか。

 これには顧問の配置や責任など検討課題もあるだろうが、子どもたちの成長を第一に考えた場合、それも複数校で連携することで決して解消できない問題ではないはず。外部指導者の起用や地域連携も大きな材料となる。

 石巻中と門脇中のPTAが早期統合を求めた最大の理由は「生徒数の減少による部活動の影響」。このことから分かるように、中学生とその保護者にとって部活動は非常に重要な要素となる。市教委は各校で実施されている部活動を把握しているが、その所属数まではつかんでいない。生徒と保護者にとって統合を求めるほどに懸念事項であるこの点についても積極的に把握すべきだろう。

 また、小中連携や地域協働が教育の現場で積極的に推進される中、小学校のスポ少とそこからつながる中学校の部活動の情報共有も密にしなくてはならない。さらに来年度からは市内でコミュニティ・スクールの導入が始まるが、ここにも地域活動の一つの重要な要素としてスポ少に関する視点も含むことが望まれる。

 各所で地域の実情に即した今後の部活動の在り方を考える時期にきている。

最終更新:2020年2月23日(日) 16時36分

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