「震災遺構」② 住民不満抱えたまま部分保存
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 熊谷 利勝 2019年11月28日(木) 8時17分東日本大震災の遺構として、石巻市の旧門脇小学校を整備する工事が始まっている。幅約107メートルある本校舎のうち中央部の約67メートルを左右対称になるように残し、両端が解体されて3分の2ほどの幅になる。再興された住宅地にあり、伝承に役立てていくには地元の理解と協力が要るが、一部を壊すことについては反対や不満が根強くある。
地元かどのわき町内会長の本間英一さん(70)ら住民有志は3月、被害がより伝わるよう全部をありのまま保存するよう市に要望した。市による平成27年度のアンケートでは解体が多かったが、2月に町内会で独自に行った結果は全体保存を望む人が多くなったためだ。復興が進んだことで、住民が残すことを前向きに考えられるようになったという。
本間さんは、町内会長の立場とは別に「個人的には解体されたら市に協力しない」と憤る。一方で「遺構は自分や震災を経験した今の人には必要なく、未来の人に残すもの。住民が合意したものであれば、全部の解体でも部分保存でもいい」と話す。
住民が部分保存に合意したかどうかは、市と食い違いがある。市側は町内会役員との打ち合わせ会などで異論がなく、関係予算で市議会の承認を得たとし、方針を変えないことを説明している。
ただ、ここまでの市の方針は二転三転している。当初は跡地に災害公営住宅を建てる案があり、市は解体を検討したが、当時の保護者の反対で再考。一方、地元住民組織の新門脇地区復興街づくり協議会は、新しいまちに被災校舎を残す意義に疑問を呈して解体を望んだ。ところが市は、有識者や市民代表の震災伝承検討委員会による保存の提言や国、県と整備する石巻南浜津波復興祈念公園との関係から保存を決め、維持管理費などの課題から一部とした。
整備後の公開は安全上の問題で見学者を入れない代わり、観察棟を新設する計画。本校舎こそ当初の左右非対称の部分保存から変わったが、住民は市が整備や展示内容で意見を聞くと言いながら、あまり反映してくれないことに不満がある。両者の溝が埋まらないまま、現地では後戻りできない一部の解体工事に入っている。
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