石巻日日新聞

「世界津波の日」に合わせ 災害頻発 命守る行動確認

石巻・総合訓練中止も地区単位で

石巻市 社会 阿部 達人 2019年11月5日(火) 9時11分
簡易トイレの組み立てを学んだ(万石浦小)

 世界津波の日(11月5日)を前に3日、石巻市内各地で防災訓練が展開された。当初予定されていた市主催の総合防災訓練は、台風19号被害への対応で中止。それでも町内会では炊き出し、学校では防災教育などと市民が独自に取り組み、防災意識の高さをうかがわせた。参加者たちは東日本大震災の経験を踏まえ、災害に備えるとともに地域のつながりを強めた。

 市の総合防災訓練は平成29年から「津波防災の日」「世界津波の日」の直近の第1日曜日に開催。毎年、第1部は市の主導で巨大地震と津波警報の発表を想定した避難行動を確認し、第2部は地域ごとの防災訓練に移行する内容で行ってきた。

 台風の影響で総合防災訓練が中止となったが、第2部の訓練を予定通りに実施する地域も多かった。このうち万石浦小学校の校庭では、万石浦小、中学校と周辺住民が合同で行い、約800人が参加した。

 石巻東消防署の協力で、児童生徒は消防車両の見学や119番通報、応急処置などを学年単位で実施。大人は万石浦小に配備されている災害用簡易トイレの組み立てなど避難所運営に必要な知識を学んだ。

 防災士で、万石浦学区地域防災連絡会の千葉正一副本部長は「全国で自然災害が頻発しており、津波だけに限らずどんな災害に遭うか分からない。今後も訓練の継続が重要」と講評。万石浦小の太田文子校長は「『まさか』のときに命を助けるのは『いつも』の取り組み。地域全体で心を合わせるのは大切な機会」と心掛けを求めた。

 ほかの学校でも、山下小はPTAが中心となり、クイズ形式で防災マップを作製。湊小では震災伝承に軸を置き、読み聞かせや講話を行った。

 また、各町内会や自主防災組織も積極的に行事を開催。開北町内会では約370人が参加し、開北会館と水押公園で避難者名簿作成や炊き出し、AED(自動体外式除細動器)の使用、防災用備蓄食の試食などを行った。災害をイメージしながら真剣に臨んだ。

 同町内会の木村勝会長は「台風19号の記憶が新しい中、市の訓練が中止となっても高い意識で参加してもらい、効果的な訓練になった。地域のつながりで防災力を高める」と話した。

備蓄食の試食も行った(開北地区)
備蓄食の試食も行った(開北地区)

最終更新:2019年11月5日(火) 9時11分

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