石巻市役所など拠点つなぐ 歩行者専用デッキ利用開始
震災教訓で施設機能強化 北への延伸も構想
石巻市 政治・経済 石巻日日新聞 2019年5月8日(水) 21時51分石巻駅前の石巻市役所と市立病院、建設中の(仮称)ささえあいセンターを2階の高さで結ぶ歩行者デッキが完成し、8日から通行できるようになった。周辺が浸水した場合でも行政、医療、福祉を担う各施設の行き来が可能になるほか、市民も安全な移動通路として普段使いができる駅前の新たなシンボル。今のところ効果は限定的だが、市は駅までの延伸と駅北側への接続を第2期事業として計画化を目指す方針を打ち出している。
完成したデッキは市役所北側から、市道をまたいで西側の市立病院、そこから南側のささえあいセンターに接続する。全長は階段や接続部分を含めて約160メートル、幅は市役所から市立病院まで3.5メートル、ささえあいセンターまで2.5メートル。東端と南端の階段から上り下りできるほか、各施設の2階から出入り可能。市役所は市民の部屋があった場所が出入口となり、ひさしや風除室が設置された。
24時間利用できるが、施設の出入口は土曜祝日を除いて市役所が午前8時―午後6時、市立病院が午前7時30分―午後5時30分の開放。早速、利用した人からは「景色が異なり、通勤の楽しみが増えた」「何かあったときに役立ちそう。駅の方までつながればいいのに」などの感想が聞かれた。
建設費は車線を追加するなどの市道改良と合わせ、約8億5300万円。国の復興交付金と復興基金を活用した。足の不自由な人も利用できるよう、来年度末までにデッキ2カ所にエレベーターを設置することにしており、基本設計に入っている。
デッキの新設は駅前に防災・保健・福祉・医療・介護の拠点を集約する津波防災拠点整備事業の一つ。震災の津波で周辺が浸水しており、災害時に孤立せずに各施設が機能するようにした。市役所東側には昨年5月末、災害時の司令塔となる防災センターが開所し、市役所と連絡通路で結ばれている。来年度末ごろの完成を予定したささえあいセンターは市社会福祉協議会の本所が入り、次世代型地域包括ケアの推進拠点や災害時の福祉避難所となる。
当初のデッキは駅や線路を越えた駅北側まで含んだ構想だったが、復興期間内の完成が難しく、部分的な整備となった。
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