石巻日日新聞

石巻市の病後児保育スタート 乳幼児保育園ミルクに委託

石巻日日新聞 2017年4月13日(木)

 石巻市は本年度から、けがや病気の回復期にある児童を一時的に預かる病後児保育事業を民間委託してスタートした。昨年度から体調不良児対応型の保育を取り入れていた特定非営利活動法人乳幼児保育園ミルク(相原かよみ園長)=同市蛇田字新立野307―1=が実施。市内の保育所などに在籍する生後6カ月以上の未就学児を対象に、一日3人まで受け入れる。利用は事前登録制となり、同園では今月1日から登録受付を始めている。

 病後児保育とは、けがや病気の回復期にあり、集団保育が困難で、医師に病後児保育の利用が可能であると判断された児童を専用スペースで一時的に保育する制度。市は保護者の子育てと就労の両立を支援するとともに、児童の健全な育成に寄与することを目的に実施する。

 対象は市内の保育所、幼稚園、認定子ども園などに在籍している生後6カ月以上の未就学児童。利用は事前登録制で、事前に同園での「登録申請書」への記入が必要となる。さらに実際に利用する場合にはいずれも同園にある「利用申請書」と、診療時にかかりつけ医に記入してもらった「病後児保育実施連絡票」を添付して提出すれば子どもを預けることができる。

 今回、事業を受託したミルクでは、これまでの体調不良児対応型のための看護師に加え、新たに専門の看護師1人を配置。専用の病後児室を設け、積み木やままごと、絵本など体を動かさない遊びを中心に体調に応じた保育を行う。

 市は、平成27年度に国が子ども・子育て支援新制度が本格始動したことを受け、子ども子育て支援事業計画(子ども未来プラン)を策定。その中では病後児保育事業に取り組む事業者への運営補助なども想定している。ミルクが昨年度、園利用児童のみを対象とした体調不良児対応型保育を導入し、さらに本年度から病後児保育を始めたいとの意向があったため委託を決めた。

 病後児保育は、石巻地方ではすでに女川町で実施しているほか、石巻市内でも民間の託児所が26-27年度にかけて行った経緯がある。しかし、当時は公的な補助制度がなく、看護師の配置といった負担から頓挫。市では今後、事業委託や補助制度などにより、病後児保育の充実を図りたい考えという。

 同園の相原園長は「共働きや一人親家庭、さらには核家族化で休みたくても休めない保護者は多い」と地域の実情に触れ、「全国的に病後児保育は赤字事業とされ、市や医師会などの協力が不可欠」と子育て環境の向上に向けた公的サポートの重要性を強調した。

 今月5日時点ですでに5人の登録があり、「まずは制度を知ってもらうことから始めて利用しやすいものにしていきたい。いざという時のために、事前登録だけでも早めにしていただければ」と語っていた。

 病後児保育の利用は月―金曜日の平日のみで、時間は午前8時半―午後5時半。1日定員3人で料金は2千円で実施する。なお、生活保護世帯および市町村民非課税世帯は無料、所得税非課税世帯は1千円で利用可能だ。問合せはミルク(電話0225-96-5178)まで。

【写真】回復期にある児童を預かる病後児室(乳幼児保育園ミルク)

最終更新:2017年4月13日(木)

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