南浜祈念公園 展示概要説明 住民 迅速な連携協議強調
震災伝承玄関口に位置付け
石巻市 政治・経済 熊谷 利勝 2019年11月21日(木) 8時54分県は15日、石巻南浜津波復興祈念公園の中核的施設で計画している展示概要を地元の住民らに説明した。県が国から施設を借りて約4億円をかけて展示物を整備し、公園の供用開始が見込まれる令和3年3月の公開を目指す。石巻だけでなく県内各地の東日本大震災の被害や復興状況を紹介し、各地に誘導するゲートウェイ(玄関口)と位置付けている。
公園は震災伝承と犠牲者追悼を目的に国と県、石巻市が38.8ヘクタールで整備中。中核的施設は中心部に位置し、祈りの場や追悼の広場と合わせて国営追悼・祈念施設として建設が進められている。
説明会は石巻市役所であり、住民ら約30人が参加。県震災復興推進課が「かけがえのない命を守るため、未来に記憶を届ける場」を基本的な考えとした展示概要を示した。
施設は延べ床面積約1300平方メートルで、このうち事務室などを除く約950平方メートルで県が展示を行う。具体には円形の建物内を大きく半分に分け、津波について避難の重要性を訴える「いのちを学ぶ回廊」と、自分ごとと考えてもらう「記憶をめぐる杜」の2つの視点を設定する。
ともに映像シアターを主要展示に計画。「教訓シアター」は学校1クラス分40人の収容を想定し、科学的視点とリアルな映像で津波の恐ろしさを伝える。「記憶シアター」では津波の歴史や震災前後の記憶を伝え、企画展示スペース側に開かれた空間の壁面に投影。来館者メッセージの入力と閲覧ができるタッチパネルや体験者の教訓が読めるモニター、他の震災遺構・伝承施設にいざなうマップなども置く。
周辺には市が遺構整備する旧門脇小学校や民間の伝承施設があり、住民は「連携の話し合いを早急に進めないとただの展示の箱になる」と指摘。支援への感謝をしっかり伝えることができるスペースや40人を超える団体客への対応、展示内容を具体化する上で行う情報収集の過程を明らかにすることへの求めもあった。
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