石巻・移動巡回図書館 「ひより号」8月末運行終了
仮設巡り心のケア貢献
石巻市 教育・文化 石巻日日新聞 2019年8月17日(土) 9時20分東日本大震災後、仮設住宅団地を対象に読書を通じた心のケアを担ってきた石巻市図書館(武山雄子館長)の移動巡回図書館「ひより号」が、今月末で運行を終える。住まいの再建が進み、仮設入居者が大幅に減ったことを考慮して決めた。「ひより号」は利用減から震災前に一度廃止されたが、震災後は心のケアに向けて再開。平成23年10月からこれまで延べ約2万人に10万冊の本を貸し出し、読書を通して市民の心を支え続けた。
「ひより号」はマイクロバスを改良し、車内に取り付けた本棚で約3千冊の図書を運ぶ移動図書館。昭和47年4月から読書に親しむ環境の向上を目的に運行を始めた。
年を重ねるごとに学校や公民館など公共施設で図書機能の充実が図られ、「ひより号」の利用者は減少。平成16年5月に廃止した。震災で学校、公共施設が被災し、仮設住宅での生活を余儀なくされた子どもたちや高齢者ら市民の心のケアが重要となったため、7年ぶりに運行を再開した。
旧市のみならず、旧町の仮設団地など最多58カ所を巡回。震災前は子ども向け図書が主だったが、震災後は仮設住宅に暮らす高齢者向けに健康関連や手芸など趣味の図書を多く届け、人々に寄り添い続けてきた。15日までの利用者は延べ1万9649人。貸出冊数は9万7852冊。
一方で利用者は26年度の延べ3819人、1万9311冊がピーク。住まいの再建が進むと利用者の数も減り、昨年度の巡回は14カ所、利用者は延べ764人、3581冊になっていた。最後の運行となる今月は旧市の大橋団地と雄勝地区の2カ所のみであり、23日で役割を終える。
武山館長は「惜しまれつつの終了となるが、震災後に求められた心のケアに少しでも貢献できたのならばうれしい。今後も図書館に足を運ぶことのできない方々へのサービスを考え、一人でも多くの人に本に触れ合う機会を提供していきたい」と話していた。
「ひより号」に代わるサービスは、今秋ごろから渡波公民館への出張図書館を計画している。「ひより号」の車両は来年開館予定の同館北上分館、雄勝分館への図書運搬で再び活躍の場があるという。
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