インバウンド ② 現状 多言語対応は道半ば
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 横井 康彦 2019年4月14日(日) 0時04分震災後に開催されている「リボーンアート・フェスティバル」や「ツール・ド・東北」、突然まちなかに人があふれたスマートフォンアプリ「ポケモンGO」イベントでは、来訪者の多くが日本人だった。これが外国人旅行客に変わると、臨機応変な対応だけでは乗り切れず。言語、文化、宗教への対応など、受け入れに際しての土壌整備不足が足かせとなった。
なかでも言語対応。前回の客船寄港時は、簡易的な英語看板などで案内していたのはふ頭のみ。中心市街地に足を延ばせば、多言語化案内板・標識の設置はなく、地域の魅力と歴史を把握しているガイド、伝達役である通訳も、1千人規模の旅行者に対応できるほど確保されておらず、未整備の言語対応に戸惑った旅行者は少なくない。実際、自らの携帯端末で石巻の情報を調べるため、無料Wi―Fiスポットのありかを探す旅行者も少なくなかった。
店舗ごとの備えもできていなかった。視覚的に買い物がしやすいよう、商品の価格表示の英語化、クレジットカード決済への対応、接客における英語対応など。飲食店においては、宗教に関連した食事提供にも気を配る必要があった。
多言語への対応は一朝一夕で改善できるものではなく、一定の準備期間の確保が必要。それができなかった最大の要因は、官民の連絡態勢にあった。
市は公共施設や町内会、観光協会などに客船寄港のポスターを掲示・配布、市報やメディアも活用して市民に周知したつもりでいた。だが、広報内容は寄港日と時間、ふ頭でのイベント情報がメイン。それだけで「寄港=外国人来店」とイメージを持たせることはできない。事前に官民が連携して備えていれば、前回のような結果は避けられた。先頭に立って誘致を進めてきた市など音頭不足といっても良い。
こうした教訓を受け、中心市街地では外国人旅行客対応への機運が上昇。今年1月28日、市の第三セクター(株)街づくりまんぼうが声掛けし、商店経営者や観光関係者らを巻き込んで通年インバウンド対応の実現を目指す「街なかインバウンド推進ネットワーク」を立ち上げた。
(横井康彦)
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