園児遺族が慰霊碑建立 わが子への思い石碑に

心に刻む伝承

石巻市 社会 石巻日日新聞 2019年3月11日(月) 14時45分配信
遺族を代表して石碑建立の思いを述べる佐藤さん

 東日本大震災で私立日和幼稚園=石巻市日和が丘=の送迎バスが津波に巻き込まれ、犠牲となった園児の遺族有志が門脇町に慰霊碑を建立し、10日に現地で除幕式が行われた。遺族らは二度と会えないわが子への思いを石碑に記すとともに、悲劇を繰り返さないよう伝えていくことを心に刻んだ。

 慰霊碑は石柱と石板からなり、4遺族が市の土地を無償で借りて建立。石柱は園児の背丈ほどの1メートル10センチの高さがあり、両手の指を組んで祈る形を表した。

 石板の裏側に犠牲となった佐藤愛梨ちゃん(当時6)、西城春音ちゃん(同6)、佐々木明日香ちゃん(同6)、佐藤亮太君(同5)の名を刻み、表側には「太陽の下で一緒に見た 梨の花・桜の香り 懐かしく思い出される あなたの笑顔にまた会いたい」などと遺族が子どもの名前を散りばめて詠んだ詩を記した。

 除幕式には4遺族のほか、菅原秀幸副市長ら市関係者、町内会関係者などが出席。石碑を覆った白布が下ろされ、参列者が順番に花をたむけていった。

 震災で同幼稚園の2台のバスは海側の南浜町や門脇町に向かい、このうち1台が園に引き返す途中で津波に遭い、園児5人が犠牲になった。

 慰霊碑は亡くなった園児が見つかった現場の約50メートル南側で、整備中の石巻南浜復興祈念公園の近く。今後、伝承看板も設置する。

 愛梨ちゃんの母・美香さん(44)は「子どもたちが生きた証を残すことができた」と安どする一方、「大人は子どもの命を守ることを一番に考えてほしい。自分たちが伝えていくのには命の限りがあり、慰霊碑が語り継いでくれたら」と願った。

最終更新:2019年3月11日(月) 14時45分

新着記事