石巻市財政収支見通し 復興後の予算編成方針策定
3か年で82億円余不足 人口減で歳入環境厳しく
石巻市 政治・経済 石巻日日新聞 2018年10月8日(月) 15時16分配信石巻市は、8日までに平成31―33年度の3か年で82億7千万円の収支不足が生じるとした財政見通しを示した。今後は高齢化に伴う社会保障費や災害復旧した施設の維持管理費が増加する一方、人口減少や復興特需の落ち着きから歳入環境は厳しくなると予測。こうした状況を踏まえた策定した新年度の予算編成方針は、引き続き東日本大震災からの復興完遂に重点を置き、平時への移行を見据えた経費削減に取り組むことにした。
31年度は10年間の震災復興基本計画(23―32年度)の9年目で、総仕上げに当たる発展期の2年目。財政収支見通しでは、31年度の普通会計(一般会計と特別会計の一部)も震災前の約600億円を大幅に上回る規模になる。
歳出2372億3千万円に対し、歳入は2366億7千千万円となり、差し引きで5億6千万円の不足。収支不足は32年度が29億円、33年度は48億1千万円が見込まれている。
これからは生活保護をはじめとした扶助費や施設の維持管理費の支出が増加。半面、歳入の根幹を成す市税収入は震災前の水準に戻ったが、31年度をピークに再び減少する見込み。国からの普通交付税も人口減少や合併特例の終了で減ることが確実視されている。
3年間の不足額を貯金に当たる財政調整基金で穴埋めすると33年度末の基金残高は44億2千万円となり、数年で底をつく。市立病院事業への繰り出しの増加や復興事業が通常事業に置き換わった場合、さらには大川小学校訴訟での遺族への賠償額が確定したときにはそれも早まる。
そこで新年度の予算編成は、長期的な収支バランスへの配慮や通常と復興事業の区分が基本的な考え方。29年度決算では予算を使えず繰り越すなどした不用額が100億円を超えており、通常予算は決算実績を参考に必要な予算を措置することにした。
最優先の復旧復興事業は国の復興交付金などを最大限に活用。前年度と同様、復興基本計画や総合計画に基づく事業以外は原則、新規の予算要求を認めない。また、選択と集中により経常的な経費を抑制し、財源の確保に努めていく。
予算編成方針は6日に財務部から各部の幹部職員に説明。佐藤茂宗副市長は「復興財源があるうちに効率的に事業を行い、32年度の復興完了を進める。効果が出ない事業はメスを入れるよう現場で検証してほしい」と述べた。各課からの予算要求は今月26日まで。
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