「認知症」 ① 誤認と偏見が独り歩き
次代への軌跡
石巻市 次代への軌跡 山口 紘史 2019年12月11日(水) 8時46分日本では今、諸外国に例を見ないスピードで高齢化が進んでいる。厚生労働省によると2025年(令和7年)には団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という超高齢社会を迎える。認知症患者数も同年には700万人を超え、65歳以上の5人に1人が認知症になると推計。石巻地方の2市1町も例外ではなく、高齢化は年々進んでおり、それと同時に認知症患者数も増えている。
認知症とはさまざまな原因で脳の働きが悪くなり記憶力や判断力などが低下し、日常生活にも支障が出る状態。老化による衰えとは違い、例えば「朝食の内容を思い出せない」のは老化による物忘れだが、「朝食を食べたこと自体を忘れる」場合は認知症が疑われる。
認知症には主に4つの種類があり、全体の6割を占めるのが「最近の出来事を忘れる」などの症状が出るアルツハイマー型。その他、脳梗塞や脳出血によって起こる脳血管性、幻覚や妄想を見るレビー小体型、同じ行動を繰り返す前頭側頭型がある。
こうした記憶力や判断力の衰えが認知症の中核症状といえる。症状により周囲に上手く適応できなくなったり、不安や心身にストレスを抱えることで、妄想や幻覚、暴力暴言などの行動・心理症状を引き起こす可能性もある。
認知症は誰もがかかりうるものであり、いつ発症するかは分からない。放っておけば症状悪化の可能性も高い。
残念ながら、現代医学では認知症の完全な予防策や特効薬はない。だが早期発見と適切な治療で進行を遅らせることは可能。事前に家族や地域の支えを得ることで、その人らしい暮らしは継続できる。「認知症の予防」ではなく、「認知症になっても自分らしく過ごすための方策」に視点を置くことが求められる。
だがテレビやインターネットなどの現代メディアでは偏見的な情報も独り歩きしている。偏った知識の広まりで、必要以上に認知症を恐れてしまう風潮があるのは否めない。他人事と捉えず、知識と理解を示すことが「正しく向き合う」ということであり、自他のよりよい将来につながる。一番の課題は地域ぐるみで認知症を「知ること」であり、偏見をなくすことから始めなくてはならない。
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