石巻日日新聞

言葉の壁越え正看護師に こだまホスピタル勤務 比出身ジェーデェーさん

ズーム&ワイド

石巻市 教育・文化 阿部 達人 9月2日(月) 9時28分
病棟で業務に励むジェーデェーさん

 少子高齢化で人手不足に悩む医療福祉業界では、外国人職員の受け入れに関心を寄せている。医療法人有恒会こだまホスピタル=石巻市山下町=で、平成27年度から働くフィリピン出身のカテリアル・ジェーデェー・アントニィ・アルメダさん(30)は、昨年度の看護師国家試験を突破。言葉や文化の壁を越え、日本人でも難易度の高い試験を通過したのは石巻地方でも珍しい。そこには職場の支えもあり、他機関や在住外国人のモデルとなりそうだ。

 ジェーデェーさんは5歳のときに3つ下の弟を肝臓がんで亡くしたことをきっかけに医療の道を志した。現地で4年制看護大学を卒業後、総合病院に看護師として勤務した。

 働き始めて3年目になると、より高度な看護技術の学びに意欲が高まり、10人の家族を支えていくためにも日本での就労を希望。政府間の経済連携協定(EPA)に基づいたマッチング制度に申請した。

 EPAは母国の看護介護資格を有し、実務経験がある外国人を受け入れ、日本での国家資格取得と就労を支援。受け入れ調整機関の国際厚生事業団によると、フィリピンからは受け入れを始めた平成21年度以降、10年間で計546人の看護候補者が入国している。

 こだまホスピタルは27年度入国分からEPAの外国人受け入れを始めた。人手不足が切迫してからでは外国人職員を育てるのは難しいため、比較的マンパワーが充足している今の段階から将来を見越した手立てを講じた。

 現地説明会でこだまホスピタルと縁を結んだジェーデェーさんは、1年間の語学研修を経て同年12月に看護助手として就職。業務時間内に資格勉強の時間が十分に確保されることなどの条件が魅力だったという。

 始めは日本語での日常会話も難しく、異国での就労は体力、精神的にも厳しさがあったという。さらに看護師試験は専門用語を含む日本語の問題を解かなくてはならず、外国人にとって資格勉強は日本人以上にハードルが高かった。

 同事業団によると、EPAで27年度に看護候補者として入国した3カ国155人のうち、在留期限である3年目の29年度試験までに国家資格を取得したのは50人。決して多い数ではない。

 ジェーデェーさんは同僚や患者からの応援を力に変え、病院以外でも日本語教室や自宅で学習に励んだ。指導担当の阿部薫看護師長は「私たちも初の受け入れで指導に不安があったが、先行事例を取り入れながら進めていった。何より本人のやる気が高く、多くのことを吸収した」と振り返る。

 27年度から毎年試験を受け、最後の機会となった29年度はわずか1点に泣いた。しかし准看護師資格を得ていたことから特例で在留期間が延長。そして4度目の挑戦で試験を突破した。

 阿部師長は「人柄も良く日本人と同じように働いており、職員に良い刺激を与えている」と評価。こだまホスピタルでは、ほかにもEPAでフィリピン人の看護師候補者2人が勤務し、年内にはさらに看護と介護福祉士候補者で計4人、ベトナム人技能実習生5人を受け入れる予定。阿部師長はジェーデェーさんに対して「外国人職員の教育も先導してくれれば」と期待していた。

 正看護師として新たな道を歩み出したジェーディーさんは「本当にみんなのおかげ」と感謝する。試験勉強から開放され、以前よりも時間にゆとりはできた。しかし「私のモットーは『ネバー・ギブアップ』。事務作業やコミュニケーションのため、もっと日本語を勉強したい。どんな状況でも対応できる良い看護師を目指したい」と意欲を見せていた。

最終更新:9月2日(月) 9時28分

新着記事