石巻市の中瀬公園 新規エリアかさ上げ整備
全体完成目標は7年度 洪水想定 TP2.2メートル
石巻市 政治・経済 石巻日日新聞 2019年7月6日(土) 8時56分石巻市は、中洲全体を公園化する中瀬地区について、新規で整備するエリアの地盤高を旧北上川で想定される洪水の高さを考慮したTP(東京湾平均海面)2.2メートルに決め、1―2メートルほどのかさ上げを行う。中瀬は将来的に原則徒歩での利用となるが、既存の石ノ森萬画館や公園は現状通り低いままとなる。来年度までに盛土などの一次造成を完了させ、令和7年度の全体完成を目指す。
東日本大震災の津波で被災した中瀬は、復興のシンボルとして公園整備し、中心市街地活性化の一翼を担うにぎわい拠点や歴史を後世に伝える空間、自然環境を学べる空間などとする。昨年11月に都市計画決定され、1月に事業認可を得た。
旧北上川の両岸と中瀬を結ぶ唯一の内海橋は、堤防整備で上流側に架け替え中。代わりに県が来年度まで(仮称)新西内海橋、市が令和3年度までに(仮称)新東内海橋を架けるが、一般車両は通さず中瀬には徒歩や自転車で渡る想定だ。
玄関口となる中瀬の北側はTP4.5メートル以上の新たな橋の高さを生かした眺望広場とし、道路に近接している萬画館前にゆとりの空間を設ける。遊具のある既存の公園はそのまま残す。被災した旧石巻ハリストス正教会教会堂はTP2.2メートルへのかさ上げと復元が完了しており、緑化で風景を整え、イベント可能な広場とする。
地区の南半分が盛土を行う主な新規整備エリアとなり、管理棟を置いて日帰りキャンプやバーベキューができる野外活動広場や多目的広場などを配置。中央部は舗装したイベント広場とし、シンボルツリーを植える。以前の道路を園路とするほか、水際を一周する遊歩道を巡らせ、盛土せず造船所跡を生かした親水空間も設ける。
とくに南端の多目的広場は、飲食や物販の営業ができる官民連携活動の場を想定。市は市民や各種団体が公園づくりや管理運営に関わる基盤の形成を進める考えで、指定管理者制度の活用も検討していく。
全体面積5.4ヘクタールの中瀬のうち、新規整備部分は約3.3ヘクタール。総事業費約15億円。財源は復興交付金と社会資本整備総合交付金を活用する。用地買収は8割ほどで、一部は一次造成に着手した。
2日には詳細な設計がほぼ固まったのを受けた説明会が市役所であり、市民や関係者約30人が参加。出席者からは、一般車両の通行ができなくなることでの利用のしにくさなどが指摘された。災害危険区域のため津波避難への懸念も示され、市担当課は「南端からみなと荘や中央の復興住宅の避難場所まで歩いて30分で行ける」と説明した。
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