搬送患者遺族が損賠訴訟 震災時の処置対応指摘 石巻赤十字「懸命に対応した」
石巻市 社会 石巻日日新聞 2019年1月23日(水) 17時39分東日本大震災で救助された石巻市の女性(当時95)が石巻赤十字病院に搬送されて3日後に亡くなったのは、同院が適切な処置を怠ったためとし、女性の遺族が同院を運営する日本赤十字社に約3220万円の損害賠償を求める訴えを仙台地裁(小川理佳裁判長)に起こした。21日に第1回口頭弁論があり、同院側は請求棄却を求めた。
訴状などによると女性は震災当時、石巻市の山下地区に住んでおり、生活に全面的な支援が必要な要介護5の認定を受けていた。震災の津波で住居周辺が水没し、3月14日に自衛隊に救出され、通院歴のあった同院に搬送された。
災害拠点病院の同院は、傷病者に対して処置の優先順位を付けるトリアージを行っており、女性は最も軽症の区分である「緑」と判定された。その後、女性は17日に脱水症状で死亡した。
原告側は「病院は女性が自力で飲食などができない状態と認識しながら必要な保護行為をせず、漫然と放置し死亡させた」と病院側の責任を指摘した。
閉廷後に行われた同院側の会見で、石橋悟院長は「限られた医療資源の中で全職員が懸命に対応したことに非はなく、怠慢と非難されることは非常に残念」と強調。「災害時の要介護者の受け入れにより病院が罰を受けるのであれば、今後の災害医療を考え直さなくてはならない」と問題提起した。
同院は女性について、帰宅が望ましい体調だったが家族と連絡がつかず、要介護者専用のエリアに待機させていたと説明。また「紙カルテを探す余裕はなく、職員が時々観察を行い、わずかな食料提供や点滴1本を行うのが限度だった」などと語り、トリアージに落ち度はなかったと主張した。
次回期日は2月25日に弁論準備があり、遺族側が必要書類を裁判所に提出する。
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