ゆうちょコンクール アイデア貯金箱で念願の全国一
稲井小6年 玉上君 “継続は力” 見事に体現
石巻市 教育・文化 石巻日日新聞 2018年1月13日(土) 15時25分小学生対象の「第42回ゆうちょアイデア貯金箱コンクール」(ゆうちょ銀行主催)の最終審査がこのほど行われた。その結果、全国から各学年1人しか選ばれない「文部科学大臣賞」に、石巻市立稲井小学校6年の玉上優月君(11)が制作した「ヤリイカの貯金箱」が輝いた。足をくねらす粘土製のイカが硬貨をつかんだデザインだ。6年目にしてようやく手にした賞に、玉上君は「これまでで一番かっこいいものができた」と喜んだ。
同コンクールは子どもたちの創造力と貯金に対する関心を高めることを目的に開催。手作り貯金箱のオリジナリティーを競うもので、工作のコンクールでは日本最大規模という。
9月が応募期間のため作品は夏休み中の課題などで制作される。今回は全国の約1万1千校から77万点を超える作品が寄せられた。
審査は学年ごとに行われ、1次では全学年合わせて240点を選定。その後、ゆうちょのほか教育、美術関係者による最終審査で入賞作品を決定した。文科大臣賞は実質の最高賞だ。
玉上君がこのコンクールに興味を持ったのは小学校入学前。姉が夏休みの選択課題で作品づくりをしていたことがきっかけだった。小学生になった玉上君にとって夏休みは貯金箱の制作シーズンに。文科大臣賞を目標に気合を込めた作品は、レベルが年々向上したものの全国の壁は厚かった。
特に4年生の頃の蛇口型貯金箱は着想から2年をかけ仕掛けにも凝ったが、それでも全国選考には落選。その落胆から翌年は出品をあきらめた。
そして迎えた6年生の夏休み。「最後の年だから」と、改めて出品を決意。モチーフには形が大好きだというヤリイカを選んだ。さらに仕掛けには得意教科の理科の学習内容を応用。500円を入れると仕込んだ電極が通電してイカの腕が回るように仕上げた。
難しかったのはもう一つの仕掛け。硬貨が滑り落ちる穴のサイズを変えることで、それぞれの収まる場所が変わるというものだ。アイデア貯金箱では定番ともいえるが、デザイン性を保ちつつ硬貨が滑りやすい角度や材料、穴の大きさなど、絶妙な具合を探らなければならなかった。
完成まではひたすら試行錯誤の繰り返し。夏休み明けの提出時には塗装が乾くか乾かないかだったというほどに、ぎりぎりまで完成度を高めた。そのかいあり念願の最高賞を見事に射止めた。
心強い味方だったのは石巻市内のホームセンターに務める父の雅則さん(42)。6年間を振り返り、「思い続ければかなうということを学んでもらえたのでは」と目を細める。
一方、「作っていて一番楽しかったのがこの貯金箱。本当はイカの目を光らせたかったけど」と玉上君。出品は今年が最後だが、「また何か作ってみたい」と制作意欲はとどまらない様子だった。
作品は昨年末から他の入選作品とともに、全国7会場で展示されている。
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