今夜6千発の打ち上げ花火 熱気と活気は最高潮
伝わる石巻のパワー
石巻市 教育・文化 石巻日日新聞 2017年8月1日(火) 15時15分第94回石巻川開き祭りは1日、小学生の鼓笛隊パレードなど陸上行事が行われ、中心市街地には多くの人が繰り出した。午後には孫兵衛船、ミニ孫兵衛船競漕の決勝レースがあり、2日間にわたる祭りもいよいよ佳境。午後7時半からは中瀬地区で約6千発の花火が打ち上がり、フィナーレを迎える。初日の7月31日夜には東日本大震災の犠牲者を悼む供養祭があり、旧北上川には灯ろうが浮かび、供養花火が夏空を焦がした。同祭実行委の調べでは、31日は前年を5千人下回る約2万人の人出となった。
■15小学校が鼓笛隊パレード
川開き祭り2日目となる1日の陸上パレードは、石巻小学校前から立町の七十七銀行前までの約1キロで行われた。2020年の東京五輪 パラリンピック聖火リレー出発地誘致に向けた小中高生たちのトーチリレーで始まり、市内15小学校による鼓笛隊演奏で沿道の盛り上がりは最高潮に達した。
鼓笛隊パレードは陸上行事最大の呼び物。大街道小を先頭に住吉小、鹿妻小などと続き、山下小がトリを務めた。“音の行進”に誘われるように沿道に人垣ができ、保護者や一般の観客が元気な子どもたちに拍手や励ましの声を送っていた。
各校統一感のあるユニホームをまとって足並みをそろえ、まちなかの七夕飾りと相まって華やかな光景。この日に向けて練習を重ねてきた児童たちは息の合った演奏やバトンさばきを披露し、あいにくの曇り空にさわやかな風を運んだ。
■東日本大震災供養祭 花火で冥福祈る
東日本大震災から7度目の慰霊祭は31日夜、いしのまき元気いちば駐車場で営まれた。石巻仏教会の僧侶ら約40人による読経の中、遺族や市民たちが焼香し、静かに手を合わせた。
蛇田地区から訪れた70代夫婦は、震災の津波で最愛の娘を亡くした。娘は当時、仕事の研修で渡波地区に出向いており、帰宅途中に津波に巻き込まれたという。夫婦は娘に寄り添うために、慰霊祭には毎年足を運んでいる。
母親(75)は「月日が経つほどに、悲しさよりも悔しさがこみ上げてくる」と唇をかみしめながら目に涙を浮かべた。父親(77)は「せめて安らかにと手を合わせて願うことしか、今はできない」と声を震わせていた。
旧北上川には、震災犠牲者へのメッセージなどが書き込まれた色鮮やかな灯ろうが約5千個浮かんだ。優しい光を灯しながらゆらゆらと揺れる灯ろうに向かい、黙とうを捧げる市民の姿が随所で見られた。夜空には1千発の供養花火も打ち上げられ、亡くなった人たちの冥福を祈った。
■いづおんつぁんが登場 約30年ぶりに参加
初日の陸上行事には約30年ぶりに、“いづおんつぁん”の愛称で親しまれている湊地区の一皇子宮神社=同市湊字大門崎山=神輿が登場した。氏子ら総勢100人が「せいや!」「おりゃあ!」の掛け声とともに神輿を力強く上下に揺らし、北上川と歴史をともにしてきた湊人の心意気を全身で表現した。
同神社の神輿巡行は、塩竃神社の祭りを参考に昭和10年代に始まった春の祭典行事だ。担ぎ手不足から近年はトラックの荷台に神輿を積んで巡行するなどしつつも継承されてきたが、震災後は休止を余儀なくされた。それでもおととし4月に5年ぶりに復活。今回、湊地区の力強さを発信しようと、約30年ぶりとなる川開き祭りへの参加を決めた。
一皇子宮神社神輿は他と異なり、太鼓と銅鑼(どら)の音色のみで無言なのが特徴だが、今回に限ってはにぎやかな巡行とした。氏子有志の一皇会のほか、首都圏の支援者も参加。約1.5トンの神輿を担ぎ、1キロほどの道のりを1時間半かけて練り歩いた。
巡行を終えた一皇会の留畑豪紀最高顧問(51)は「感無量。震災から多くの支援で立ち上がり、また川開きで担ぐことができた。沿道で涙を流す人もおり、神輿を通して湊地区の人々の結束が深まった」と汗をぬぐった。
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